鎌で防いだと思った瞬間、身体から尋常じゃない熱さを感じた。
一瞬、自分の右脇腹を見ると⋯血塗れになっていた。
意識した直後、全身に激痛が走る。
「うぅ⋯」
痛みでうずくまる暇など無く、ヤツの左手に用意された"黄金の弓"が私へ向けられた。
周りには守ってくれる人などいない。
⋯ シ ヌ ?
― 何もかも投げやりになった時
鎌が姿を変え、鬼の顔が露わになった。
〈白雪鬼の死神鎌(スノーホワイトデーモン・デスサイズ)〉は本当はこうなんだと、言い聞かせられるかのように。
この反撃がとうとう"アイツ"を一歩引かせた。
でも、まだみんなは戻ってこない。
この研究室のような場所。
いるのはコイツだけじゃない。
ただ、切れていた〈天魔神の超重力〉がもう一度張られたのが分かった。
向こう側からヒナがどうにか張ってくれたんだ。
さっきの零距離レーザーは、ヒナがいなくなった事で直撃したのだろう。
「はぁ⋯はぁ⋯ぐっ⋯!」
歯を食いしばれ。
ここで倒れたら何もかも終わる。
⋯会えなくなる
会うまでは⋯倒れ⋯ない⋯!!
「んぁぁぁッ!!!」
身体の底から叫んだ。
残り全てを振り絞る様に。
私は生きたい。
今も、これからも。
白雪鬼の目が青く光った瞬間、新たなズノウが解放された。
"シロイズノウ"の一覧が解禁され、その中の一つを即座に選ぶ。
「⋯これなら⋯!」
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
⋯
⋯⋯え?
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
⋯なんで⋯?
なんで⋯どれも⋯つかえな⋯
もうヤツが⋯!!
早く⋯早く⋯!!!
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
ヒナとニイナの顔が最期に見えた。
自分の頭だけ、宙を浮いていた事は覚えている。
「ユ⋯キ⋯ちゃん⋯? いやぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!」
「先⋯⋯輩⋯⋯」
二人の大声だけが周りに響く。
私はきっともうこの世にいない。
⋯
⋯⋯
そんな妄想が、霞む現実から見えてしまった。
必死に両手で防いだ私に、なんと何も当たって無かった。