一つ目の【伏龍一矢】は
二つ目の【命中補正E】は矢の命中率を上げる
三つ目の【殺意の兆し】もパッシブスキルだ。人間に属する相手を攻撃した際、極低確率で四倍のダメージを与える。このダメージは筋力値や精神値に縛られず、どんな方法でも良いから出したダメージから計算される。
私が「PKをした」と見做されたのが釈然としないが……返り討ちであってもPCを討ち倒した結果には変わらないという事だろう。それで経験値も入ったのだし。
「ラトさんに襲われた時は『うわあ、ついてない』って思ったけど……これは収穫だったなあ」
それなりに劇的な展開、なかなかの撮れ高だ。これはラトには感謝しないといけないな。……いや、やっぱりPKなんかに感謝するの嫌だな。うん、私の努力と幸運に感謝するとしよう。
「何かキリが良いし、今日はそろそろアガるか」
「そうだね。今日は有難うね、マイ」
「おう」
『
私の指がアイコンに触れる。その直前だった。
「良い戦いをするねぇ、オタクら」
後ろから声を掛けられた。
振り返ると、そこには一人の男がいた。黒いコートで全身を覆い隠し、隙間から覗くズボンもまた黒い。黒ずくめの男だ。顔だけは黒ではないが、包帯でぐるぐる巻きにした上にサングラスを掛けている。体格から男性だと分かるが、それ以上はどんな人物なのかまるで判別が出来ない。
怪しい。怪し過ぎて逆に怪しくないんじゃないかと思ってしまうくらい怪しい外見だ。
「えっと、はい……ど、どうも……?」
「いや本当本当。見事なものだったよ。今日が初日だから皆、戦闘力は同等の筈なのに終わってみたら完勝なんだもの。良い立ち回りをしたもんだわ」
「は、はあ……」
「ん? ひょっとしてその光の玉は……君もVTuberかい? 奇遇だねぇ。何を隠そう僕もVTuberでね。ほらこれ」
VTuberを名乗った彼の近くにも
というか、この人の口調と背格好。加工しているのか声色は全然違うけど、聞いた事がある。もしかしてこの人は私の知っている
などと考えていたらマイが用心棒のように私と包帯男の間に立った。