二人は部屋に入った。その瞬間に自分たちの目を疑った。ファイの姿がないのだ。
「!?」
「あの娘はどこだ!?」
驚く二人。仕掛けはそう難しいものではなかった。開いた扉の背に隠れていたファイはすり抜けるように、二人を閉じ込めるように扉を閉めた。
「!?」
「あの娘!!」
二人はガラスの向こうで走って逃げるファイを見てすぐさま追いかけるべく、扉を開けようとする。しかし、彼女のしていた独特な髪留めはまるでそのための鍵として作られたように、扉と強化ガラスの柱に差し込まれて動かないように固定されいる。
「くそっ!」
すると防護服の男性は手を伸ばしてボタンを押す。すると服からバーナーが飛び出して、扉をあっという間に焼き切って脱出する。更にもう一人は防護服のボタンを押す。
すると白い建物のランプが赤く点灯しけたたましい音とともに次から次に天井のシャッターが降りて逃げ道を塞ぐようにしていく。
その中でもファイは迷わず走っていく。防護服の二人もおいかける。しかしファイはまるで道や建物の構造を知っているかのように、曲がり道、分かれ道を迷うことなく進んでいく。
そして向かったのは廊下で窓があるところ。十数メートル先にの壁の窓が空いている。しかし同時に天井からシャッターが降りてくる。ファイは息を切らし髪を乱しながら走っていく。後ろに防護服の男性二人の姿も。
「待て!!」
男性が腕を伸ばすと今度は袖から大砲の口が、音を上げると網が飛び出す。ファイは振り返ることもしないで右から左によると、網はギリギリファイの横を通り抜けていく。
「間に合わない!止まれ!!」
防護服の人が声を荒げる。シャッターはもうほぼ閉じている。
しかしファイは今度は迷わず身体を伏せて進む。
「なぜ!閉まりきらない!?」
男性の疑問はすぐに解決した。扉は閉まろうとしているが、ステンレス球が引っかかっていたのだ。
ファイは急いでシャッターをくぐり窓に足をかける。
「待て!」
防護服の一人は今度は袖から別の武器を。鉛玉が一発ファイの背中をめがけて飛んできた。ガラス窓を破るとファイの髪と肩をかすめた。
そしてそのままファイは窓の外へ。窓の外はなんと崖。数メートル下の海へとファイが姿を消した。