街を歩く人々。ここでは腕につけた端末から情報を収集するのが一般的な時代。娯楽動画を見るのから、必要な授業を受けたり、日程を確認したり。そんな中人々の注目を浴びているのがΧ/Ψの情報だ。この大陸の権力者が集まり円卓の机を囲み会議をしている様子がリアルタイムで端末を持つ人々が確認できる。
「…先日宇宙から放たれた閃光が原因で人々にΧ/Ψという染色体が発生したというのか?」
「はい。わかっていることは人の性染色体に類似した形状で遺伝上に似た構造をしていること。」
「またΧ/Ψの遺伝子ではΨ/Ψとなった場合には致死となります。」
「どういうメカニズムなんだ?」
「それはわかりませんが、こちらが今までの生命体と変わらない機能を持つΧ/Χの状態。そしてΧ/Ψにの遺伝子を持った場合にはその生命体の特性とは全く関係ない特殊な力が宿ります。ある個体では著しく身体が大きくなったり、本来体内で生成できない毒素を生成できるようになったり。中には翼を本来持つはずのない、トカゲが空を飛ぶようになったり。」
「…そんな生命体を野放していいのか?これからどうなっていくかわからないだぞ。」
「そうです。そのために我々はこのΧ/Ψの対策チームや法令を整備したいと思っております。」
こんな会話を聞いている二人の青年が居た。森の中で腕に巻いた端末を見ている。
一人はボサボサの青い髪が特徴的だ。たれた目つきはなんだか眠そうだし、身体もひょろひょろと背が高い印象だ。もう一人は長い身の丈ほどある金色の髪をした青年。大きな鋭い目つきに整った顔立ち。ヒョロヒョロの彼よりも少し背が高いが筋肉も併せ持っているために凛々しい印象だ。
「…あ〜あ…。やっぱり…Χ/Ψについてはあんまりいい話にはならなかったね〜。」
青い髪の青年は頭をボリボリと掻いている。
「仕方ねぇよ。人は得体のしれないものは排除するからな。それよりカイ、博士からの任務は?」
「…このあたりでいるらしいよ。Χ/Ψ原因と思われる生物が。ゼーター。」
「よし、行くか!」
ゼーターは金属の柄を取り出す。すると薄緑に光るサーベルが飛び出してきた。サーベルもまたゼーターの身の丈ほどある。
「気をつけろ。どんな生き物かわわかってない。ただ森の一部が丸ごと無くなっているらしいし。」
「丸ごと?」
そんな会話をしていると大きな揺れが二人を襲う。
「何だ!?地震か!?」
ゼーターは声上げる。カイは上下に揺れながらも冷静に首を横に振った。
「違うと思うぞ。揺れ、…大きなるというか…近づいている。…あ
多分下だ。」
「何!?」
二人はその場から分かれるように左右とび近くの木に飛び移った。その瞬間に地面が大きく陥没して周りの木々を飲みだした。