第四章☆精密機器の正体
「博士、戻りました。博士?」
仁が声をかけながら博士の姿を探す。隆と社長くんも首をかしげて探すのに加わる。
寝室のベッドで横になっている博士。しかしみつけてホッとしたのも束の間、博士が昏睡状態だとわかった。
「博士?どうして」
「こいつに聞いてみようぜ」
隆が部屋の隅のサボテンに手をかざした。
微弱な電波。サボテンの記憶。
博士が懐からカプセルの入った瓶を取り出す。カプセルを一粒取り出し、赤と青に割って、中身の粉薬を懐紙にこぼし、顕微鏡で見ながら何やら手を加えている。
一粒終えて、次の一粒へ。
そうして最後に細かい精密機器を一粒に入れて他のカプセルを瓶にしまった。
博士は精密機器の入ったカプセルを迷うことなく水で飲み下した。
そして、眠りについた。
「どう思う?仁」
「博士は前にあの精密機器の入ったカプセルを見つけたとき知らぬ存ぜぬで通していたんだが……」
「博士の身体を透視してみるか?」
「ああ」
社長くんは、ただ黙ってことの成り行きを見守っている。
仁と隆は集中力を込めて博士を見た。
「なんてこった!?」
博士の身体の八割が機械に置き換わっていた!!!
「まさかと思うけど、他のカプセルにも機器が入ってるんじゃないの?」
社長くんが言った。
仁と隆はお互いに透視して、脳の一部が異物に置き換わっていることを知った。
「博士はナノマシンの開発の第一人者で……」
「知らなかった」
「ぼくは老い先短いからいいけど、君たちは気の毒にねぇ」
社長くんがしたり顔で言った。
「博士が目を覚まさないうちにテクノ社へ身柄を引き渡した方がいいよ」
「だけど、俺は……」
仁は言葉に詰まった。
「君は正義感を手玉に取られて博士に騙されたんだよ。このまま博士を放っておくと怪物になるぞ」
そうなのか?!仁は気持ちが揺れた。