エピローグ☆巻き戻し
仁は、隆と社長くんとともに博士をテクノ社に引き渡した。
「これからどうする?」
「カプセルを飲む前に戻ればいい」
「社長くんはそれができないよ」
仁と隆は社長くんを見た。
「あのな、タイムパラドックスって知ってる?」
「過去に戻って自分の両親を殺すと自分は存在しなくなるってやつ?」
「隆は一度死んだ。隆が死んだ時間軸の未来もあったはずだ」
「仁と隆が戻ったら、違う時間軸に収まるけれど、社長くんはこのままここの時間軸に残るしかないのか?」
「ぼくのことなら心配いらない。ぼくはたとえ一時的にでも若返っているからね。それだけで十分だ。困ったらテクノ社の研究所に行くよ」
「じゃあ、俺らは過去に」
「ああ」
3人は右手を重ねて別れを告げた。
巻き戻る。
仁は、巻き戻る最中、気がかりなものを見た。決して忘れないように。胸にしまう。
博士が最初に仁にカプセルを手渡したところへ戻った。
「俺はこんなものは飲みません!」
「どうしたのかね?!」
「未来から戻ってきました。博士、すべて機械の身体に置き換わってしまう前にテクノ社へいってください!」
「未来で何を見てきた?!」
「ナノマシンの第一人者なんですね?犠牲者を出さないでください」
「つまり、ワシは失敗するわけかね?」
博士は悟ったようだった。
仁は元の生活に戻った。
ただ、ずっと気がかりがあって、アイロニー社を訪れた。
「ご用件はなんでしょう?」
「美香さん、俺と付き合ってください!!!」
「えええっ?!」
もう巻き戻しはできない。未来へ進むだけだ。