10日目。例のごとく、今日もスープとパンの朝食を摂る。
朝起きたらヒカリちゃんからメッセージが来ていた。
ウサギ帽子が完成したという。
食事後も宿屋で待っていたら、ヒカリちゃんとコマチさんがやってきた。
「ミケさん、サクラさん、えっとクルミさん、おはようございます」
「みなさま、おはようございます」
ヒカリちゃんは朝から、礼儀正しく挨拶する。
コマチさんも続いた。
ヒカリちゃんはウサギのぬいぐるみのマイケルの頭を持って下げて、マイケルもお辞儀をさせる。
食堂では目立つので、狭いけれど部屋に連れて戻る。
「あー。ウサギ帽子できたんだって? みせてーみせてー」
クルミがはしゃいで要求してくる。
ヒカリちゃんがアイテム袋からウサギ帽子を取りだしてくれる。
すぐに3人に配った。
●ウサギさん
顔と耳としっぽが付いている毛皮の帽子。一針一針頑張って縫った。
レア度:4 ランク:4
種別:
防御力:7
魔防力:10
耐久:45/45
作成者:ヒカリ
口元が可愛くできてる。ヒゲと口と目がついていて上にはウサギ耳が縫い付けてあるけれど、垂れ下がっている。
後ろ側には、丸い尻尾がくっ付いていて、思わず触ってみたくなる。
鎧は3人とも、体のみで、頭には何もつけていない。
この帽子はかなり防御力が高い上に可愛い。
この補正なら、おじさんで恥ずかしくても我慢して被るレベルのできだ。
売ったらいくらだろう。10,000セシルぐらいにはなりそう。
ヒカリちゃんは、すでに自分たちの分も作成済みらしい。
おもむろに取り出して装備した。
ローブ姿のちっちゃい子が、もともと犬耳で可愛いのに、うさ耳になってさらに可愛い。
元の犬耳はどうなってるのかは、謎であるが、ファンタジーだし気にしちゃだめだろう。
「警ら隊の4人はどうするの?」
「あの方たちは『俺たち硬派にはウサ耳は似合わないから、オオカミにしてほしい』って言ってましたよ」
コマチさんが答えてくれた。
「ちなみに、オオカミはこれです」
ヒカリちゃんの作成能力はかなり高い。
自分でかぶって見せてくれる。
三角の耳が立っていて、犬尻尾が後ろに垂れている。
●オオカミさん
顔と耳としっぽが付いている毛皮の帽子。一針一針頑張って縫った。
レア度:4 ランク:4
種別:
防御力:11
魔防力:6
耐久:50/50
作成者:ヒカリ
ウサギのほうが魔法系で、オオカミは物理系なのか。
いや。やっぱりこれも、かなり可愛い出来だぞ。
本当にあの人たち被るのか?
私の所に、アルクさんがメッセージをよこした。
便利なことに、このゲームのメッセージシステムはVRギアと連動しているため、インしていなくても、確認、送信が可能だ。
メッセージを見て、急いでログインしてきたらしい。
私は、警ら隊の4人を迎えに行き、部屋へ入れる。
部屋が一気に狭くなった。もうぎゅうぎゅうだ。
「オオカミ帽子ができたそうじゃないか」
「はい。私、頑張りました」
警ら隊の4人が感謝を述べつつ受け取り、装備する。
「ぶはっ。おっさんでも可愛いな~。こりゃ流行るわ~」
なんかクルミが爆笑している。
「
サクラちゃんがフォローをするけれど、どうだろうね。
「我ら警ら隊、ずっとこの帽子を大切にします!」
「「「大切にします!」」」
びしっと、ヒカリちゃんに向けて、揃って敬礼をする。
ヒカリちゃんも、腕が曲がってるけど敬礼を返す。
「感無量であります!」
「「「同感であります!」」」
台本があるんじゃないかと思う位、一致していて、ちょっと引く。
警ら隊じゃなくて、幼女親衛隊の間違いじゃないかと思う。きっと。