昨日は日が暮れてからも森に行って、22時頃に宿に戻ってきて寝た。
さすがにクルミとサクラちゃんも作業をしないで寝たようだ。
9日目の朝。いつものスープに固いパンを食べる。
なんか、そういえば、毎日のように干肉は作ってたけど、あまり生産職生活を満喫してない気がする。
普通にモンスター狩って、薬草採取してフィールドワークに勤しんでた。
ところで、手元に薬草が340個、白キノコが80個ある。
昨日の夜にまた増えたのだ。
だから今日の午前中は、村長の所に入り浸って、全部ポーションにしてやる。
計算すると空き瓶が40個足りない。
買ってきちゃいましょう。40個20セシルで800セシル。
ちなみに、村長の家の作業部屋は他のユーザーと話をする応接間とは別になっているため、新規ユーザーなどが、私たちが村長の家にいるときに来ても、気が付かない構造になっている。
囲炉裏のある部屋も別にあるのだ。
「そうか、オオオオカミをやっつけたか。お嬢さんたちも一人前の冒険者じゃな。しかし奴はまたすぐ復活するのじゃ」
とか言っていた。特に何もくれなかった。
クエストではないんだな。討伐報酬とか、ちょっと期待してたんだけどな。
私は3つを1セットにして、次々ポーションを作成する。
すりつぶして、お湯を沸かして、60度まで温度を下げて、そして、お湯に薬草を投入する。
それを繰り返す。
夜の内に空き瓶に泉の美味しい水を汲んでおいたので、ランクの高い水も使える。
普通のゲームなら「68回、作成。材料は5個にお水」でできるのに、ちょっと面倒だ。
簡単、作成スキルみたいな便利魔法はないのだろうか。
なんというか、大量作成するには、リアル的作業効率スキルが必要だ。
色々なことを考えながら流れ作業をする。
そういえば丸木先生は、変な爆弾みたいの使っていたな。
あれは未発見アイテムじゃないかな。
でも先生は、半分GMみたいな立場だから、きっと、通常手段で入手したんじゃないんだろうな。
ヒカリちゃんのヒール。
詠唱すると強くなる秘密、結局まだ聞いてないな。
お湯を沸かしている間にメッセージ送りつけて聞いておこう。
『ミケ:ヒカリちゃん、ヒールが詠唱で強くなる秘密教えてください』
すぐに返事があった。
『ヒカリ:農家のおばさんに聞きました。昔教会に居たそうです』
『ヒカリ:なんでも、祈りを込めて言葉を唱えると、願いが神様に届くので、それで強くなるんだそうです』
『ミケ:ふんふんそれで、祈りの言葉は固定なの?』
『ヒカリ:自分で考えて決めれば、いいそうです』
『ヒカリ:定型句はありません』
『ミケ:なるほどね。ありがとう』
『ヒカリ:ウサギ帽子はもうちょっと時間が掛かりそうです』
私も何か決めておこう。
やはり、名前を名乗るのが流儀なんだと思うので、最初に名乗ることにする。
こんなのとか「我が名はミケ。大いなる自然。無垢なる魔力の本流を我に貸し与えよ。マジックボール」とかどうだろう。
無属性魔法っぽい所を取り入れてみた。
ヒールの方は「我が名はミケ。聖なる月女神の癒しを我の前に示し賜え。ヒール」みたいな感じかな。
この世界の神様は、太陽神ウクレレと月女神アクレレの二人によって、統治されているという「設定」だから。
太陽神は「動」の力。活力とか攻撃力を、月女神は「静」の力。癒しの力を司っているとかいないとか。
公式のプロローグみたいなページに書いてあった。
アイスもあったっけ。
えっと「我が名はミケ。万物を戒める絶対零度の氷結の力を我に貸し与え賜え。アイスブリーズ」でどうだ。
我ながら、完ぺきではないか。これで私の攻撃力も当社比2倍は確実だ。
ホログラムのメモアプリ。というのが付いているので、それに書き込んでおいて、暗記しよう。
いざというときに、カンペありとか格好が付かない。
5級ポーション(渋み控えめ)x68
5級MPポーションx16
が完成した。ランクはいずれも3だった。
この後の午後は、平原に行って狩りをしたんだけど。
もちろん、魔法詠唱のテストもした。
「ちょっ、ミケ。中二病すぐる。ばくしょう~」
「ミケさんはこれでも真剣みたいですわ。笑ったら失礼ですわよ」
みたいな、予想通りの反応を示していた。
ちなみに、威力は高いのだろう。たぶん。
威力あたりのMP効率が2倍は良いはずなので、詠唱が恥ずかしいのと長いのを除けば、そこまで悪くない。
でも最大の問題は、すぐ発動できないのでタイミングが難しいのだった。