私はさっそく「古い氷結の杖」を装備して、アイスブリーズをプリンにぶつけてみる。
名前の通り、冷たい風がプリンを包み、短時間だが、動きが止まる。
どうやら「状態異常:氷結」が発動して、その間は物理攻撃が普段より有効のようだ。
短時間でやっつけることができた。
MP消費量は、マジックボールより多いことが分かった。
威力は良く分からない。たぶんそれなりに強いだろう。
敵ごとに適性の属性があるらしい。プリンは火魔法を使ってくるから反対の氷に弱そうだ。
いつものように、ウサギの毛皮を雑貨屋で売り払い、村長の家にお邪魔する。
せっかくなので今日はウサギ肉を
醤油は雑貨屋で売っていない。確認済み。たぶん、食べ物扱いなのだろう。
塩胡椒、村長に分けてもらった醤油を付けてなじんだら、火で炙って乾燥させる。
試食用にばらして食べてみる。
日本人好みのビーフジャーキーみたいな感じになった。私はこれが一番好きかな。
「うひょー。ハムっぽさがなくておいしいよ~」
「醤油もいいですわね」
2人にも好評のようだ。
試食用の残りは、明日露店で出してもらおう。
「ところで村長さん。他の人には料理と調薬は教えないのですか?」
「うむ、教えてもいいのじゃが、そもそも教えてほしいと言ってくる者は少ないのじゃ。それに名乗らない不届き者には、面倒だから断っておるわい。高圧的な態度の者もおる。困ったものじゃ」
「はい、同業者として、すみません。代わりに謝っておきます」
「なに、お嬢さんたちは気にせんでよい。そういえば言い忘れていたが、パーティー名を決めたようじゃな。名前はその者の本質を表す大切なものじゃ。名前を付けて、長く経過すると、ボーナスの加護が付くと言われておる。野良パーティーより固定パーティーの方が優遇されるということじゃ。たまにゲストを増やす程度は問題ないぞ。覚えておくといい」
「情報ありがとうございます」
さらっと有用情報を流してくる村長。さすが村長。これからもよろしく。
宿屋で毎晩同じメニューのそこそこの味のスープと固いパンを食べる。
そして、夜部屋に戻って、2人はペンダントづくり、私は情報収集だ。
案の定「氷結の杖」の情報はまだ掲載されていなかった。
プリンが武器を落とす情報は、掲載されていた。
もっとも「初期武器より補正の悪いハズレ装備。開始早々、職種を転向する人向けや、雑貨屋で売れるので、出ないよりはマシだが、レアを狙うほどではない」と評価されていた。
新スキルを覚えられると書き込んだら、プリン狩りが発生するだろうか。
7日目の朝。私たちは朝ご飯を頂く。
今日の朝ご飯は、ウサギ肉のサンドイッチだった。
「すみません。これ、お昼のお弁当用に購入できませんか?」
「あいよ、今朝は余ってるから、欲しければ50セシルで提供するよ」
塩胡椒で焼いたウサギ肉とレタスのような葉っぱを、薄く切った固焼きパンで挟んである。
ぶっちゃけると、いつもの夜ご飯よりおいしいと思う。
4人分200セシルを払い、お昼として持っていく。
どうして4人分かって? それは、クルミが2人分食べると主張したからだ。
今日も露店を出してもらうために、雑貨屋に寄りトラニー君を借りる。
今日の販売品は以下の通り。
・星形の木工ペンダント 5,000セシル x3
・ウサギ絵の木のペンダント 4,000セシル x4
・ウサギの
・ウサギの
・ウサギの
・ツグミの実 100セシル x30
ツグミの実が残っていたのを忘れていたので、少し残して売りに出す。
一粒100セシルだから高いと思う。売れなくてもいい。おまけだね。
トラニー君も、魔法のアイテム袋に全部収納して持っていった。
だいたいのNPCもアイテム袋を持っていて、便利に使っているようだ。
しかし、収納したからといって、時間経過がないわけではないので、鮮度が落ちるものもある。
今日も村長の所へ寄ろう。
「村長さん、今日はご用はないですか?」
「そうじゃの、特にクエストにはならんのじゃが、冒険者のために薬草を採取してポーションを作ってほしいのじゃ。薬草の群生地はわしが教えておくぞ」
「わかりました」
「露店ゴザは持っているかな? できたポーションは自分たちで露店で販売するといい」
ホログラムのマップ画面に印が付いた。
村長、最初の時は教えてくれなかったじゃないですか! とは言えない。
まだそこまで私たちを信用していなかったのだろう。
今日はまた、森へ行くことが決定した。