私たちは、再び森に来ていた。
主に薬草を採取するためだ。
ちなみに今、私たちは全員Lv5だ。
ウサギとの遭遇
危なげなく、攻略していく。
「はー。なんか、ぬるげーだね。気がぬけちゃうわー」
「そういうこと言うと、なんか出てくるよ」
「――あの、何かでてきましたわ」
「え!」
「うおい!」
オオカミが出てきた。たしか夜に群れで出てくるという例の奴だ。
しかし幸い、1匹である。これなら対処しようがある。
『ガウ! ガウ!』
犬とオオカミの中間みたいな声で鳴くようだ。
ちなみに、プリンは鳴かない。
オオカミは牙を向けて威嚇してくるのと、構えてジャンプで襲ってくるのを繰り返してくる。
いつものパターンで、サクラちゃんに前に出てもらい、オオカミの突撃を盾でいなしてもらう。
かなり動くので、ハードだ。オオカミも盾職がいないとまともに食らいそうだ。
私のアイスブリーズも、どうやら効くみたいだ。あまり凍らないけれど、一時的に動きを止めて隙ができる。
そこを見逃さず運動神経のいい、クルミが槍で数回突く攻撃をする。
サクラちゃんは、ナイフをしまって、防御に徹している。
両手で盾を持たないと、スキル「防御」が発動しないらしい。
アイスブリーズは、早口で連続で使うと2回目に失敗する。どうやらクールタイム制みたいで、数秒の間は無効になっている。
よく見ると視界の隅に、クールタイムアイコンと秒数が表示されていた。
オオカミは、私を狙ってこようともするが、サクラちゃんの立ち回りがかなり良いため、後衛を狙うことができないでいる。
3人は、自分でいうのもなんだけど、連携が結構ツーカーにできるようになった。
クルミの会心の一撃がオオカミにヒットして、オオカミが『キャウン』と鳴いて倒れた。
ドロップは何だろうか。
・オオカミの肉
・オオカミの毛皮
だそうだ。このゲーム、内臓と骨はどこへ消えるんだろう。頭としっぽも。
順番にウサギ、ウサギ、オオカミ、ウサギ、という感じでたまに戦闘になった。
無事、1つめの薬草の群生地を見つけた。
「いっぱい生えてるね」
「はー。まさに、薬草のハーレムや~」
「村長に感謝ですわ」
3人で手分けをして採取する。本当にたくさん生えているので、時間が掛かったけど、薬草が50個とれた。
近くの倒木に白いキノコが群生していた。
「なんかキノコも生えているけど、1本ずつじゃないし地面じゃないね」
とりあえず1本だけ取ってみる。
●森の白ニガキノコ
森の白キノコと間違って採取される別種のキノコ。毒が強く食用に適さない。
種別:素材、食べ物
レア度:1 ランク:2
満腹度:5上昇
状態異常:
初心者トラップのようなキノコだった。
これ、白キノコの情報がないと、間違って取っちゃうパターンだわ。
「
「えー。いらない。苦いんでしょ。たぶん」
とりあえず、取った1本だけストレージにしまって、次の採取場所に向かう。
2か所目もかなりの数の薬草が群生していて、ここでも40個とれた。
3か所目は日差しがよく射しこむ場所で薬草が少し生えていた。
驚いたことに、ツグミの木がたくさん生えている。
「これも取っちゃおうか。用途が良く分からないけど、美味しいからいいよね」
「おー。そうしよ~」
「そうですわ。渋抜きポーションに入れて、イチゴ風味ティーにしましょう」
「それいいね。帰ったらやってみよう」
帰りの森の中、けっこう採取とかで時間が掛かり、もう夕方になっていた。
なんと、オオカミが群れで現れた。
『『ガウ! ガウ!』』
『『ガウ! ガウ!』』
全部で、ひ、ふ、み、……たぶん7匹いる。しかも1匹体格が二回りデカかった。
「なんか、強いの出てきた」
「ぎゃー、ぜったいぜつめーだ。しぬぅ~」
「大ピンチですわ。乙女のピンチですわ」
サクラちゃんは必死に後衛を守ろうとするけれど、数が多すぎる。
クルミもオオカミを槍を振り回してけん制しているけれど、それを突破してクルミに次々襲い掛かってくる。
どうやら、群れはまずクルミを脅威の対象と判断して排除する気だ。
私は気が動転して、とりあえず杖のままクルミをヒールで回復しようとするけど、あまり回復させられない。
そうこうしているうちに、私のところにもオオカミが1匹襲ってくる。
杖を振り回しつつ、マジックボールを叩き込んで、なんとかしようとしたけど、すぐにクルミが倒れた。
オオカミの群れはそのまま私の方へきて、大きい一匹だけがサクラちゃんと対戦している。
私もあっという間に死亡して、すぐにサクラちゃんも後ろからのオオカミの突撃でHPが0になったようだ。
私たちはホログラムで表示されている『「東村」へ帰還しますか?』にYesを選択して、死に戻りすることになった。