6日目の朝がきた。
今日は、お金もたまってきたので、宿で朝食を頂いた。
昼食も戻ってきて食べたいくらいだわ。
ほとんどの冒険者は、寝る時間はログイン時間制限がもったいないため、ログアウトしていく。
だから、朝夕は結構混雑するけれど、部屋数はそこまで多くない。
朝食を摂っていたら、メッセージが来た。
丸木先生だった。
『調子はどうだい。問診するから宿で待っててくれ』
丸木先生のエルフさんが宿屋にやってきた。
問診は宿の個室を借りて一人ずつ行われた。
特に3人とも異常はなかった。
しいて言えば、リアルに戻った時にこちらでは不要な動作をするのを忘れそうな懸念がある程度だ。
ほぼ一週間も両親と会わないとか、ほとんどなかったな。元気にしているだろうか。
あぁ。6倍なので、まだリアルは24時間経過していないか。
現実のニュースもたまにチェックすることを勧められた。
今日も草原に行く前に、まだ少ない露店を見学する。
ウサギの
値段は安くなっていない。
携帯食と同じ180セシル前後が相場になっているみたいだ。
ふむ、塩胡椒とか、考えることは皆同じか。
塩だけだとちょっとハムっぽい。私は結構好きだけど。
店主はウサギ肉を大量に仕入れたいが、それを買い入れる資金がまだないとぼやいていた。
また、干す時間が5時間ときついとも言っていた。
それだけ待つなら狩りなどをしたいだろう。
あと、例のプリンからのレア品で「汚れた木のウォーハンマー」が出ていた。
攻撃力+8、耐久40/100だった。値段は未確認だ。
今日は、試してみることがある。
それは役割交代だ。
初期装備の武器にも利用者制限が付いているけれど、パーティーメンバーに限り、レンタル機能で貸し出すことが可能という書き込みを見たのだ。
まずは私が槍、サクラちゃんが杖、ロザリオ、クルミが盾・ナイフにしてみた。
草原で、ウサギやプリンを相手に、攻撃を仕掛ける。
クルミは危なげなく、盾を構えて壁をやっている。
私の槍はかなりへっぽこだ。槍を突きいれるのだが、狙いが悪いようで、急所にあったっていないように見える。
サクラちゃんの魔法は、見た目は完璧である。
普段より倒すのにやっぱり時間が掛かった。
それでも皆、対応したスキルを覚えたからよかった。
ある程度こなしたら、私が盾・ナイフ、サクラちゃんが槍、クルミが杖とロザリオだ。
クルミはなぜか、魔法名を詠唱するのが恥ずかしいようだ。
いつも、しょうもないこと叫んだりしてるのに。
サクラちゃんは、槍さばきも完璧だ。どこか様になっていて、かっこいい。
私の盾は、やっぱりへっぽこで、クルミ曰く、腰が入っていない。ローブが悪いんだよきっと。私も重鎧をきれば、どっしりできるよ。
そうして、職業体験は終了して、いつもの装備に戻って、狩りを再開した。
一つ収穫がある。それは全員がヒールを習得したことだった。
ヒールの回復量は、私が10、クルミが7、サクラちゃんが9だ。
キャラのステータスなどが表示されないので、考察は困難だが、適性みたいなのもあるようだ。
槍を使うだけなら、MPは消費しない。スキル「槍術」というのがあるけれど、基礎スキルのようで、別段「槍術」と唱えても何も起きない。
だからクルミはMPが私たちより余り気味で、ヒールにMPを使いまわせる。
もちろん、ロザリオなしでヒールを使うと回復量が5とかなんだけど、ないよりいいだろう。
プリンは武器を落とすので、見つけたら優先して狩りをする。
他の大多数のユーザーは、プリンを苦手とするため、結構残っているのだ。
その結果、プリンの欠片を沢山と、レアアイテムを手に入れた。
それは氷結の杖だった。
●古い氷結の杖
氷魔法の力が秘められてる杖。プリンに食べられて傷んでいる。まだ使える。
種別:
レア度:3 ランク:2
攻撃力:5
魔攻力:8
耐久:40/100
特殊効果:アイスブリーズ習得可能
これはなんか、事件ですぞ。お宝ですぞ。
武器の種類で基礎スキルを覚えるのは知ってるけど、ドロップ装備で他の魔法を覚えるなんて聞いていない。