そんなこんなで縁、スファーリア、斬銀は桜野学園へとやって来た。
「はい、到着」
「なあ、今更だがこの服装でいいのか?」
「構わない、戦闘科にはほぼ裸の先生達も居る」
「裸て」
「魅了系の能力の人達」
「なるほど……いや、俺の能力は魅了系じゃねぇよ!」
「とりあえず教室に行きましょ」
軽くあしらわれた斬銀を連れて、3人は教室へと向かう。
教室には生徒達が全員居る。
一本槍、ツレ、ファリレント、未来、そして石田夫妻だ。
各々が自主的に何か勉強していて、教壇に立った縁達、スファーリアは無表情で話し始めた。
「今日はお知らせがあります、私と縁先生が襲撃されました」
その一言で生徒達は手を一斉に止めて、驚いた顔をしている。
「恐らく襲撃者はあなた達も襲うでしょう、容赦無く殺しなさい、だだ殺す場所は考えてね」
「ってスファーリア、このクラスは殺しオッケーなのか?」
「斬銀さん、手加減はちゃんと実力が有る者の行為、失敗すると面倒くさい事になる」
「まあな……いやだが学校としていいのか?」
「構わない、殺そうとした奴を殺しただけ」
「なるほどな」
「ええ」
それ以上は斬銀は何も言わずに、軽くため息をした。
スファーリアは無表情のまま言葉を続ける。
「見るからに雑魚だった、あなた達でも苦戦はしないでしょう」
「スファーリア先生、よろしいでしょうか?」
「はい、絆さん」
「失礼ながら、神として先生方に質問してよろしいかしら?」
「どうぞ」
絆はウサミミカチューシャを外して、黒い着物姿になった。
「
「あら、いいんですか?」
「あなた達の願いは『自分達じゃどうしようもない出来事から守ってほしい』でした」
「今回は俺達で如何にかなりそうだけどな」
「甘いぞお兄……縁」
ついつい素が出でしまった絆は、ワザとらしく咳をした。
「この私が、あなた達に降りかかる不幸を少しだけ排除します」
「ありがとうございます、スファーリアさん、神社に奉納に行こうか」
「縁君、神社まだ無いんじゃ?」
「あ、クセで……まだ工事も始まったてなかったな」
「時間を取らせました、話は以上です」
絆はウサミミカチューシャを付けると何時もの姿に戻った。
今更ながら、絆は桜野学園の制服に、スファーリアのクラスのエムブレムほ付けている。
「縁先生、襲撃は大丈夫でしたか?」
「大丈夫だ一本槍君」
「あのお姉ちゃ……スファーリア先生、お、落ち着いて下さいね?」
「ファリレントさん、どういう事かな?」
「先生の音がかなり感情を抑えているから、今にでも全て絶滅しそうで」
「見事ね、この私の音を感じるとは」
「……しょしょ正直、かなり怖いんです」
ファリレントはカタカタと震えていた。
怒りの矛先が自分でなくとも、嫌と言うほどスファーリアの恐怖を知っているからだ。
「ほう? 感じ方は違うだろうが……試しにそこの死神、スファーリアをどう感じる?」
「俺っすか? ほっといたら死神が大忙しになるって危機を感じるっす」
「いいな、強者の強さ、危機感を感じ取れるのはいいぞ」
「ふふん」
自分の生徒の実力の高さに満足しているスファーリアだった。
「あ、紹介が遅れたけど、今回は凄い人が来てくれました、
「傭兵をやっている真寺斬銀だ、名前で読んでくれて構わない……てか石田夫妻が何で生徒なんだ?」
「何かを学ぼうとしたら、ここの先生しか首を縦に振らなくてな」
「スファーリア先生には本当に感謝しています」
夫婦揃って笑顔でスファーリアに頭を下げている。
「まあ実技なら俺の見立てでは、そこの死神と一本槍、演奏術のお嬢さんは俺が何かしら教えた方がいいな」
「あら? 私には何も教えてくれないのかしら?」
「教えろ~」
「おいおい斬銀先生そりゃ~ないんじゃないかい?」
「あなた、そんな言い方はよくないですよ」
「俺が教えられる事? まあ軽く何か話すか?」
「お願いします」
スファーリアと縁は教壇から降りた。
「ふーむ、縁、ちょいと来てくれ」
「え? 俺ですか?」
再び教壇へと上がる縁。
「身近ならお前だ、運が良いからでやられる身になってくれ」
「神は人間の理解を超えた存在ですから」
「それはともかく、話していこう、はい縁の能力を簡単に言える奴」
「はい、縁先生はとても運が良いのであらゆる事象を捻じ曲げます」
「絆、それを言葉で説明出来るか?」
「はい、斬銀先生、縁先生を殴るふりをしてくださいませ」
斬銀は絆に言われた通りに、ゆっくりと殴るふりをした。
「この時、殴ろうとする斬銀先生の腕に何かしら起きます」
「何かとは何だ?」
「それはわかりませんわ」
「おいおい、んじゃ水晶玉で遊んでいるお前、答えて見ろ」
大きい水晶玉を頭に載せている未来は、自信満々に答えた!
「ふふん、縁先生は神様です、人がどうこうすること自体がおこがましい」
「ほう、未来を見通す神でもわからんか」
「何故私の事を!?」
「そのくらいわかる……てか、その水晶玉お前さんの神器だろ? 遊び道具にしていいのかよ」
「おほう、私が神様だってバレた……ちなみに私の名前は未来」
小さい水晶玉でお手玉をし始めた未来、斬銀はため息をして見ていた、そんな中ツレが手を挙げる。
「つまり、理解出来ないのに、下手に喧嘩売るなって事っすよね? 俺が言うのはなんですが」
「ああ、よくあるのが戦いの最中に考察する奴だ、訓練とか授業とかならわかるんだけどよ、殺し合いの最中に悠長に考えているアホが居るんだよ、たまにな、あ、考えなきゃならん状況は別な」
「そこは大丈夫、逃げるチャンスと殺せるチャンスは見逃すなって言っている」
「そうか……まあお前達の生徒だからそこは大丈夫か」
「復習も大事」
「ああ後、今のお前達にしか出来ない力を教えておこう」
普段絶対見せない真面目な顔でこう言った。
「先生達を頼れ、これは学校にいる間だけだ、まあ頼りすぎはよくないが、死ぬよりはいいだろうさ」
それを聞いて生徒達は各々頷いく、下手に死ぬよりは怒られても先生達に頼った方がいい。
「さて、言葉で説明ってのも難しいから実技でもするか」
「あ、それなら次の授業からにしましょう、そろそろチャイムが鳴る」
「おおそうか」
「一本槍君、ツレ君、ファリレントさん、準備運動よろしく」
「ずるいですわ、お三方だけ」
「絆さん、私とサシで訓練する?」
「まあ、お願いいたしますわ」
直にチャイムが鳴った。
一本槍とツレ、ファリレントは一足先に実習室に向かう。
縁達は職員室へ向かい、他の生徒達は教室に残った。