「いや、集まってもらったまはいいが、何すればいいんだ?」
縁は目の前に集まった生徒達を見て少し困っている。
「なら縁先生、私は神の私生活が知りたいです」
「私生活!?」
久城の発言に縁は目を見開いた。
「はい、私は先程も言いましたが、神社巡りが趣味です、何回か神様にはお会いしましたが、皆さんある意味仕事中でお話を聞けなくて」
「なるほど、っても神の私生活って、ほとんどの神は知られたくないんだよ」
「信者が減るからですね、縁先生」
「そうだ一本槍君、私生活がズボラな神って結構多い」
「何でですか?」
「それはな久城さん、常日頃肩を張ってるからだよ、威厳を保つとか色々な」
「縁先生もですか?」
「俺に威厳なんて無いよ、神様として多少の心構えはあるけどね」
「ううむ……迷惑なのはわかっているけど、好奇心が抑えられない」
久城は自分の気持ちを抑えられない顔をしている。
本当に悔しいそうな顔を見ても縁は苦笑いをした。
「そこまで言うなら見てみるかい? 神の私生活」
「おお、いいんですか!?」
「まあ、俺の私生活でいいなら」
「ありがとうございます」
「久城さんのリクエストにだけ答えても仕方ないな、他の皆は何がしたい?」
勢い良く一本槍が手を上げる。
「僕は縁先生以外の神様と手合わせがしたいです」
「これはまた大きくでたな」
「考えた結果です、神様と交流を持てるチャンスはこれを逃したら、次は何時になるかと考えたら」
「なるほど、ツレ君はどうだい?」
「俺っスか? 一本槍と同じで実力付けたいっす、力もそうっすけど、心構えというか」
「うむ、この死神君の言う通りだ、失礼ながら、縁先生にご教示した方々にお話を聞きたいです」
「ああ、それわかる、荒れてた神を鎮めるってスゲーよな」
生徒達の話を聞いて縁は考え始めた。
「皆の話を総合すると、俺と関わった人達に会いたいってなるな、一言で言えば」
「縁先生、お願いできますか?」
「合わせるのは構わないんだが……」
縁は少し離れて絆達と話しているスファーリアの方を見る。
「なあスファーリアさん、この合宿って期間は?」
「約一か月、じっくりと生徒達と向き合って」
「そんなにあるのか」
「もちろん四六時中ではない、縁君も先生以外にもやる事があるだろうし」
「この合宿は何時からなんだ?」
「三週間後だから、来月から」
「準備期間も長いんだな」
「もちろん、連絡と準備もあめだろうから」
「なるほど、皆には予定が決まったら早めに予定表渡そう」
「あ、そうそう、今日はこれで終わり、話し合いが終わった解散」
「そうか」
縁は再び考え始めるが、直に久城を見た。
「久城さん、俺の私生活見てみるかい? 面白味は無いけど」
「おお、先生の私生活キタコレ」
「縁先生は普段何してるんですか?」
「一番の収入はカジノ経営だな」
「おお、幸運の神様らしいですね」
「っても、換金は無いから、ゲームセンターみたいなものだ」
「利益はあるんですか?」
「無いね、俺が経営している店はほとんど赤字だ」
「ええ!? どうやって生活してるんですか?」
「昔荒稼ぎした、それだけだ」
その言葉に生徒達は言葉を失った、どう反応していいか困ったのだ。
なんだかんだ言って縁は、数多の人間を殺してきた。
たった一言で、その金が綺麗なものではないと、言っている様なものだ。
縁が生徒の変化に気付いた時には、少々遅かった。
「まあそれはともかく、社会見学の一環として来るかい?」
「縁君、健全な生徒をギャンブル依存症にしないで」
「おおう、何時の間に」
振り返るとスファーリアが居た。
空気を読む様に、明るい声で話をしている。
「これは監視が必要」
「監視て、別に非合法な事は」
「制服着てるなら学校行事です」
「なるほど……遊ぶにしても学校として見られるのか」
「そう、だから監視」
「なら団体様御一行で行くか、サンディがまだ話してそうだから、もう少し待つか」
結果として、縁、久城、一本槍、アポロニア、ダエワ、ツレ。
スファーリア、絆、未来、ファリレントが行く事になった。
「じゃあ、この面子で行くって事でいいな?」
「よし、縁君早速行きましょう」
「ああ」
縁は指を鳴らした、すると、黄金の扉が現れる。
シルクハットのデフォルメの兎等々の装飾品が飾られていた。
「じゃあ俺のカジノに案内するぜ」
勢い良くその扉を開けた。