第一話 演目 残りの生徒達

「話し合いの前にいいか?」

「まだ何かあるのか?」

「いや、俺はお前のクラス全員紹介されてない」

「ああ、あの残りの5人か?」

「そうだ」

「お前ら、自己紹介しろー」


 サンディは、まだ自己紹介していない生徒達に目をやった。

 5人は桜野学園指定の制服を着ている。


「私ら? でも縁先生は私らをよくは思わないよ」

「え? 何で?」

「私らは、金欲しさに神の封印を解く依頼を受けたからさ」

「……ふむ」


 縁は赤い髪の女子生徒と目を合わせた後、他の4人を見た。


「赤髪の君の……難病の父を救うために、皆で協力したんだろ?」


 言葉に迷いが無く、見透かした様に言い放った。


「俺は縁を司る神、縁を大切にする者の味方だ、サンディ、この子達のその後はどうなったんだ?」

「封印を解いた後か? そのアカネ以外は生徒じゃなかったんだが、生徒にした」

「って事は後始末はバッチリか」

「ああ、まあ封印解かれた神が話が通じる奴でな」

「ほう?」

「何でも昔は種族問わず、子供に害をなす親を殺してまわったとか」

「ふむ」

「で、封印されたらしい、本人曰く、一度封印された神がデカい顔は出来ないと言ってた」

「依頼した奴はとんだ誤算か、どうせ大した理由も無く封印解いたんだろ」

「ああ、そいつはその神に殺された」

「その神の気持ちは分かるな」

「って、話がそれてるな、私の生徒達の自己紹介だよ」

「だな」

「ほい、アカネから順番に」

久城くじょうアカネといいます、趣味は神社巡りです」

「縁先生、わちきは修士しゅうし利発りはつ、好きな事は本を読む事、知識を付ける事です」

「よろしく、久城さん、修士さん」


 赤い髪のアカネとメガネをクイッとする利発。


「次は俺らだな、俺はクラッシュ・豪傑ごうけつ、趣味は魔法の研究と筋トレだ」

「僕は工学院こうがくいん兵機へいき、科学兵器と化学兵器を考察と、今は高性能電動三輪車の開発が趣味です」

「拙者は因幡いなば鍵之介かぎのすけ、名は体を表すように、鍵開けが趣味でござる」

「よろしくな、豪傑君、工学院君、因幡君」


 名前通りの筋肉質の豪傑。

 左腕に小型パソコン、耳や目にメカメカしいデバイスを装備している兵機。

 縁の様にうさ耳に、鍵のマークが描かれている帽子をかぶっている因幡。


「なあサンディ、合宿って職業体験はありなのか?」

「ああ、天津姉妹と九十九は、それぞれ職業体験のレポートを出してるな、どうした?」

「この5人にも、それをした方がいいなとおもってな」

「どうしてだ?」

「形だけでも更生しましたって、世間に向けてアピールしないとな、後々面倒くさい、実体験だ」

「……なるほどな、確かに」

「要望さえ出してくれれば、大体は紹介出来ると思う」

「お前すげーな」

「縁な神だからな」

「って、いつまでその姿なんだ?」

「おっと失礼」


 うさ耳カチューシャを付けて、何時ものジャージ姿なる。


「班分けかるか、職業体験と、縁に教えてもらいたい奴と、スファーリア先生にな」

「え? 俺が教えるん?」

「いや、お前先生だろ、そして神だからこそ教えれる事もあるだろ」

「まあ確かに……いや、俺作業量おおくね? 職業体験の先生探しに指導だろ?」

「お前が自分で言ったかだろ? んじゃ、私の所に職業体験な~ほれ、お前ら移動しろ」


 生徒達は移動を開始した。

 縁の近くには、一本槍、アカネ、ダエワ、アポロニア、ツレ。

 スファーリアの所には、絆、未来、ファリレント。

 サンディに、天津姉妹、豪傑、兵機、因幡、九十九、修士が集まった。