開放骨折だったリチャードは、骨をボルトでつなぎ、傷口がふさがるまで病院生活だった。
「俺、今度外国へ交換留学するよ」
「えっ?どこの国?」
「ジャパン」
「あの島国?」
「そう」
寂しくなるな。でも、リチャードがいない間、僕はトロフィーもらい放題だ!!!
ライラと僕は空港でおそろいのハイスクールのうわっぱりを着た1団を見送った。
僕の天下だ!
しかし、リチャードは期限が過ぎても戻ってこなかった。
「僕も日本へ行く!リチャードに何かあったんだ!」
「留学費用なんて出せないよ。せめて一週間。滞在しておいで」
両親がこれほどありがたいと思ったことはなかった。
「気をつけて」
ライラが空港で僕にハグした。彼女は泣いていた。
「大丈夫。すぐにリチャードを連れて戻ってくるから!」
僕は意気揚々飛行機で飛んだ。
連絡先の住所に行くと、奇抜な衣装の青年がすれ違った。
「り、リチャード!?」
「やあシン。久しぶりだなぁ」
「なんだその格好?」
「有名ゲームの主人公のコスプレ」
「はああ?!」
漫画喫茶というところでジュースを飲みながら、リチャードは日本のオタク文化に染まった話をした。こんなに生き生きしているリチャードは知らない。
「こっちに移住して、ゲーム会社を立ち上げるつもりなんだよ」
「宇宙飛行士の夢は?医学博士になって空軍に入るんじゃなかったのかよ?!」
「夢を売る商売だ。俺の右足じゃ加重力に勝てない」
僕は絶句した。
一週間、何もできなかった。
「リチャード!僕は絶対許さないからな!」
ふうふう言いながら頭に血が上ったまま飛行機でとんぼ返りだった。