僕が風邪で寝込んでいたときに学生のダンスパーティーがとりおこなわれた。
ライラがパートナーがいないから自分もいけない!と言って悔しがっていたが、リチャードがパートナーを探していたので、ライラを紹介した。
きっとお似合いだろうなぁ、と思いながら僕は熱発して眠り込んでいた。
「シン、シン!!!」
揺り起こされて、見るとパーティードレスが泥で汚れたライラがいた。
「パーティーは?…何かあったのか?」
途端に正気に戻って起き上がった。
「私の、ハイヒールのかかとが溝にはまって、動けなくなったところに暴走車が突っ込んできて、リチャードが…」
グスグス泣きながらライラが言った。
「リチャードがどうした?」
「私をかばって車に轢かれて、今病院にいるの」
「なんてことだ!」
「シン!動いて大丈夫なの?」
「眠ったからだいぶいいよ。病院はどこ?」
「中央病院」
「行ってくる」
「待って!私も着替えてくる」
僕らはリチャードの病室を訪れた。
「右足の骨が折れてるらしい」
リチャードの父親が来ていて言った。
「しばらく安静。悪いが今日は帰ってくれないか?せっかく来てくれたがすまないね」
僕らはすごすごと退散するしかなかった。
「私のせいだわ!」
取り乱すライラを慰めながら帰路についた。
「その、パーティー自体は楽しかったのかい?」
「リチャードも私もあなたの話ばかりしてたわ」
「なんで僕?!」
「バカじゃない?そんなこともわかんないの?」
わかるわけないじゃないか!
「ベストカップル賞をもらったけど、どっかいっちゃた」
「なんで?」
「そんなのたいしたことじゃないわよ!それよりリチャードの足!」
「ああ」
僕らはしょんぼりと歩いた。
ライラを家まで送ると、僕は重い足取りで自分の家に向かった。
風邪がぶり返してきたのか悪寒でがたがたふるえた。