『第二章　苞蔵禍心』本編冒頭に掲載した和歌の解説です。

細川高国の軍は敗れた。軍事的弱点を晒した高国陣営に牙をむく讃州陣営。摂津の三好長家・政長兄弟造反し、柳本賢治・波多野秀忠が堀城を陥した。細川晴元は海を渡り、畿内に上陸し、京を窺う。そして年が明け、今まさに決戦の火蓋が落とされようとしてきた。

香西元盛の誅殺は柳本賢治の心に昏い翳を落した。次兄・元盛の後嗣に義弟を就けた賢治は長兄・波多野元清と語らって叛旗を翻す。攻め寄せる細川尹賢と薬師寺国長。道永の全軍と言えるほどの陣容であったにも関わらず、敗退してしまった……

香西元盛が誅殺され、柳本賢治の謀叛を疑った細川尹賢は柳本賢治邸でその真意を推し量った。賢治は尹賢と道永を謀り、丹波へと向かう。

細川道永陣営で香西元盛の誅殺が行われ、道永陣営の政権内は尹賢ら野州派が主流となった。
その一方で、京の町衆らの間に茶の湯の新たな遊び方が流行し始める。奈良派と呼ばれる村田珠光の婿養子・宗珠を筆頭とする茶人たちを中心に弘まりつつあった。

　細川高国陣営における内部抗争の犠牲となり、香西元盛は誅殺される。その弟・柳本賢治はその前日、細川尹賢の訪問を受けていた。

揉め事がありながらも堀城は完成した。
しかし、それに端を発する高国陣営における細川尹賢と香西元盛の対立が深まるばかりだった。それに内衆旧臣派と近習出身らの対立が絡む。

颱風と飢饉、そして疫病に見舞われ、細川｜道永《高国》が政務に復帰した大永五年が暮れた。年が明けると武田元光と朽木稙綱の奔走によって痘疱の流行も終熄に向かい、武田勢も朽木勢もそれぞれの国に引き揚げる。そんな中、道永は仲の悪い腹心・細川尹賢と香西元盛の間を取り持とうとしていた。

堺の皮屋の跡継ぎ・武野新五郎は連歌師に憧れていた。父が京に｜舗《みせ》を出すにあたって上京する。
そして、一人の人物と出会った。

この年は災害の多い年でもあり、全国的に飢饉となり、京でも颱風による被害が深刻だった。

このお話はフィクションです。

大永五年四月廿一日、細川高国が入道する。武蔵入道道永と号し、いよいよ幕政を恣にし、京兆家家督を野州家で継承していくことを天下に示した。