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相棒の言うことも、判る。だが向こうの主張ももっともだ、と彼は思う。
それが全く自分で無い、のなら何も問題は無い。だが聞けば聞くほど、それは自分である、という確信が強くなっていたのだ。
自分がそれほど、向こうが言う程に強かったかどうか、はどちらでもいい。とにかく向こうにとって、そう見えたのなら、そうなのであろう。とかく自分から見た自分と、他人から見たそれはずれが生じるものである。
「……まあ百歩譲って、向こうがそれでいちゃもんつけるのはイイけどさ、……オレは、オマエがアレを引き受けるのは、嫌だよ」
「……」
「断ればイイんだ。あんなの」
リタリットは短く決めつける。
「けどなあ、それじゃ」
「だいたいBP、オマエ、何でそこまで言われてわざわざ参加しようって言うんだよ。オマエが参加しなきゃなんない理由なんかないじゃんか」
「けど、仲間だ」
「仲間だからって、自分を全部捧げなくちゃならねってのはヘンだ」
「お前は、そう思うのか? リタ」
「思うよ」
きっぱりと、断言する。
「オレだったら、そこまで向こうに条件突き付けられたら、すぐケツまくって逃げるよ」
「けどお前は、あのポスターを切り裂いてたじゃないか」
「それとこれとは別だよ」
彼は相棒のおさまりの悪い髪に手を入れた。