「……まだ気にしてるんかよ」
かすれた、小さな声が、彼の耳に届く。
真夜中に目が覚めてしまって、奇妙に目が冴えてしまって、眠り方がよく思い出せない。申し訳程度に付けられた仕切りの布の向こうに気付かれないように、BPは身体を起こして、膝を抱えていた。
「そりゃあな」
「別にいいじゃんかよ? どう言われたトコで、オマエが思い出せるってワケじゃねーし?」
それはそうだ、と彼は思う。
「ほらこっち、来いよ!」
相棒はそう言って彼の腕を引っ張った。バランスを崩して、彼はそのまま敷いた毛布の中に倒れ込む。気分がいきなり高まってしまったのか、と思いきや、そうでもないらしい。
あの冬の惑星でよくそうしていた様に、ただ強く自分を抱きしめているだけだ、ということに彼は気付いた。触れる身体に、欲望の存在は無い。
「だいたいオマエ、過去が過去がってこだわりすぎなんだよ? いったいそれが何だって言うんだよ? いまさら」
相棒の言うことは、間違ってはいない、と彼は思う。実際、考えたところでどうにもならないことなのだ。
だが、そう割り切るには、あの集団の人間達が証言する自分の姿というのは、ひどく自分の中では重いものだった。