繁華街の裏道を歩く、安藤雅彦、氷川ヒカリ、加藤春昭、平野愛。
少女の隣を四人が通り過ぎる瞬間、少女はハンティングナイフを持ってくるりと
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次の瞬間、四人の首から美しい
先を進んでいた安藤雅彦と平野愛は
倒れた二人からはとめどなく真っ赤な血液が流れ出て、少しずつ道路脇の
後方を歩んでいた加藤春昭と氷川ヒカリは一命は取り留めたものの、首から大量の血を吹き出し、衣服を真っ赤に染めつつあった。
「あるぇー、せめて一撃で苦しませずと思ったけど
少女が二人の方を振り返ると、声にならない声を出しながら、顔を
――
どこからともなく薄い紙のような矢印が空を切り裂いて恐ろしいスピードで少女に狙いをつけて飛んできた。
少女は飛んでくる矢印をチラ見すると、自らに
「
曲がり角から政木が走りながら姿を現す。地面に横たわる教え子の姿を目に焼き付けながら、
「レイラがしっかりと手綱を握っておると思ってたワシが
「あ、ヨーコ!! 水族館ではよくもッ!! ワタシは世界の解放に
少女ステラに政木が放った五本の矢印が突き刺さろうとするも、青い光の壁が現れて全て
「今のは『
「ユキナを殺すためにレイラが借してくれたんだよ。なんでヨーコはユキナの味方ばっかするのさ! ユキナを殺したら次はヨーコも殺しちゃうよ!」
「……お断りするわ」
篠崎がゆっくりと歩きながら姿を現した。
それと同時に彼女が着ている薄手の黒いパーカーが、赤い
それは彼女自身の
「せっかくレイラが悔しがる世界を楽しんでいたのに余計なことをしないでもらえるかしら……。甘酸っぱい四人の青春物語が終わっちゃったじゃない……」
三人が会話する内容は耳から脳に入ってはくるが、理解する余裕など無いくらい春昭とヒカリは
◇ ◇ ◇
耳も徐々に聞こえなくなってくるなかで、加藤春昭は眼球を動かして辺りを見回すと、さっきまで共に歩いていた三人が血だらけで倒れているのが視界に入った。
(みんなどうなったんだ……? 先輩もヒカリも雅彦も……)
自分が血だらけで死にそうな状況にも関わらず誰も反応しないということは、きっとそういうことなのだろう。
さっき起きた一連の流れを、その場にいた者の顔を、場面を、出来事を、全て忘れてはならない。例えここで命が尽きようと……。
――意識が遠のく。
このまま時が進めば全員の命が尽きてしまうだろう。
◇ ◇ ◇
一方、氷川ヒカリの視界は涙でぼやけて見えなくなっていた。
視界が
少し離れたところから知らない女性達の声が聞こえる。
きっとこのまま終わってしまうのだろう。自らの終わりを
◇ ◇ ◇
加藤春昭の身体から白い
自身の体から流れ出た血液は
「……ハルくん」
この止まった時間の中で動いているのは加藤春昭と氷川ヒカリの二人だけだった。
氷川ヒカリが最期の力を振り絞ってかすれた声を発する。
「またね……」
最期の一声を発すると、氷川ヒカリの身体から赤と黒の
誰か一人だけでも――。
その想いは一人にだけ通じた。
と
【
――時は
みんなと出会うその前まで。
全てが始まりの時まで
だけど、時の
だから、私は一緒に旅をすることはできない。
でも、きっと違う未来になると信じてる。
私達はまだ死にたくない。
身勝手なお願いかもしれないけど、私達の過去と未来を
一緒に行けなくてごめんね……ハルくん。