暗がりから、噂の辻斬つじぎりが姿を現した。
瓦版かわらばんによると、奴の腰のものは稀代きだいの妖刀。
白い糸のごとく太刀筋たちすじは、相手に斬られたことさえ感じさせぬという。
ふん、そんな戯言ざれごと。当方、いささか腕に覚えがある。
返り討ちにしてくれよう。
その時、上半身が下半身から落ちた。気づかぬうちに斬られていたらしい。