ん?
誰かからメッセージが入った。
『ノノは君たち3人をずっと羨ましそうに見ていた。七色蝶にも会いたがってる、ここで燻るよりそっちの方が絶対いい。面倒をかける』
素直じゃないなぁ、カレンさんは。
直接言ってあげればいいのに。
『責任持って面倒みますね』と返事する。
こっちとしては、ノノがいてくれるのは心強い。
昔からの仲でもあるし、他で死んだなんてなったら、ルイに会わせる顔が無い。
それなら、私たちと一緒にいる方がいい。
「ふ~ん、じゃ、後輩?」
ニイナがノノに顔を寄せる。
「⋯いいじゃん、そういうのは」
「ノノちゃんって今何歳なの?」
「18歳⋯です」
「ニイナちゃんと同い年なんだね!」
「まぁそんな感じはしました。絶対近いだろうなと」
「これからは仲良くしなきゃだよ~?」
ヒナを"配信者のひなひー"と知って、「え!?」とノノが驚いていた。
質問されまくりになってるし、これがやっぱり普通の反応なのかな。
エレベーターがB20Fへ着くと、金のドアが開いた。
なんとそこには、"未来のような地下鉄"が広がっていた。
「なにこれ⋯もう訳分かんない」
ニイナがそっと呟く。
「どこも見る限り新しい⋯出来たばかりのようですね」
「あっちに電車があるよ!」
ヒナの言う、電車がある方に向かってみる。
そこには【新宿・品川方面】と【東京スカイツリー方面】の2つのプラットホームがあった。
というかこれ、リニアモーターカーだわ。
見た事無い真っ赤なリニア。
こんなのがなんでここに⋯?
ホームの壁のデジタルサイネージに、
『最新AIの独自技術 地下鉄の新常識 "紅膜超電動リニア"を体験せよ』
って大きく書いてある。
"紅膜超電動"?
下に詳しく説明があった。
『風切り音を一気に軽減させる特殊な"紅膜"と、電気が非常に流しやすくなる現象"超電導"の未知なるタッグ。人間では成しえなかった世界を体験できます』
⋯AIって正しく使われれば便利よね
こんな知らない事まで裏でやってる。
あれ、【東京スカイツリー方面】の方にリニアが無い。
と思った瞬間、ほんの少しの風切り音と共に、真っ赤なリニアが帰って来た。
あまりに音がしなさすぎる、本当にリニアなの⋯?
「帰ってきたけど、これに乗って先に行ったって事だよね? なら、乗らないとかぁ」
全車両のドアが開いた。
ノノが真っ先に乗ろうとする。
「ちょっと待って。これに本当に乗るの?」
「黒夢、もしかして怖いのかぁ?」
「そうじゃない。安全かも分からないし、これに乗って行ったとも完全に言い切れないでしょ」
「そうだけどさぁ、他に無さそうじゃない?」
「⋯ここは先輩方に委ねます。本当にこれに乗りますか?」
私はもう決まってるけど、ヒナはどうだろう。
「ヒナ、どう思う? 私は乗ろうかなって考えてる」
「んー⋯」
その時、ヒナの背後で"蝶竜?のような何か"が、このリニアに乗る様子が見えた。
「⋯!」
「あ、ユキちゃん!?」
追いかけて乗った瞬間にそれは消えてしまい、釣られて3人も乗ってくる。
それと同時にリニアが動き出してしまった。
「乗っちゃったぁ」
「ユキ姉、どうしたの?」
ヒナとノノが席に座りながら言う。
「⋯今、ルイがいた」
「それ、私にも見えました。あれが⋯"ルイ様"って事ですね」
「そう。L.S.がルイと同じだったでしょ?」
「はい。たぶん"これに乗れ"と言いたかったのではないかなと⋯でも、なんでルイ様が"あんな姿"に⋯」
「⋯わからない。さっき9階で戦ってる時も、ルイの声が急に聞こえて、アイツらが蘇る原因を教えてくれたの」
「声⋯ですか。私たちには聞こえなかったという事は、やはりユキ先輩だけ感じ取りやすいって事なんですね。幽霊⋯? いや、ルイ様がそんなはずは⋯この謎は解明しないと⋯」
ニイナはぶつぶつと独り言を言いながら席へと座る。
紅膜超電導リニアは"650km/hの速さ"も出ており、ものの3分ほどで"東京スカイツリーの地下"へと着いてしまった。
『"東京スカイツリー直下駅"に到着しました。お降りの際は足元にご注意ください。5分間、人の出入りが無い場合は"新宿警察署直下駅"へと向かいます』
「行きましょうか」
「えぇ」
ここの駅は新宿警察署とは雰囲気が違った。
"宇宙感がある?"という表現が正しいのかな。
「⋯あ! あそこにも"金のエレベーター"がある!」
ノノが見つけたそれに近付くと、なんと1Fを目指して動いている最中だった。
ここへ来たのは正解だったんだ⋯!
やっと追いつける。
⋯ここに来ているのが"誰なのか"に