「ド、ドラゴンだぁーッ!」
人々の住居を覆う影。
町に
この日は、歴史的な
蜂の巣を突いたように、
わたしの思考は、不自然なほど冷静だ。
常識を超えた存在が、無力感を教えてくれる。
「あ、あ、あっけないなぁ」
諦めの言葉も、生を諦めきれない身体がスムーズに決めさせてはくれなかった。
口にしたことで、ついに身体も抵抗の姿勢が折れたのか。或いは、これすらも悪あがきなのか。その判別は放棄して、家の中へと
大きな飛来物が空を切る音と、生物の鳴き声。家屋の
脳はつくりだした。
そんな過小生物の小細工など、吹けば飛ぶようなものなのだろう。
静寂は束の間。
轟音と共に嚙み砕かれた。
まぶたをゆっくり開けると、そこにはドラゴンの頭部があり、わたしの身体よりも大きな眼が見開かれていた。
我が家の大半は、一呼吸の間に喪失してしまったようだ。
正確には目が合っているかなんて分からないけれど、ドラゴンからの視線を感じる。
そして――視界は真っ白になった――