「そういえば、すのこはこれからどんな配信をするつもりなんだ?」
「ん? んー。どうしたの急に?」
これは珍しい事を言う。
マイは基本的に私の配信には興味がない。いや、正確には私の配信だけではなく、YabeeTuber自体にまるで関心がないのだが。彼女がこのゲームに付き合ってくれているのも私と幼馴染である以上の理由はない。そんなマイが私の配信を気にするなんてどんな風の吹き回しだろう。
「あー……まあ、何だ。今まではお前一人で配信してたけど、このゲームの中だとオレも一緒だろ? ゲームの事を配信するんならオレも配信の出来に関わってくるって思ってな。だから、お前がどういう配信するつもりなのかを聞いておきたかった」
「ま、マイ……!」
驚いた。マイがそこまで考えてくれていたなんて。ゲームに付き合ってくれるだけでも有難いのに、配信にまで気を使ってくれるなんて思わなかった。感激に胸を打たれるとはまさにこの事だ。そんな事を言われたなら私もきちんと答えなくちゃいけない。
……とはいっても、
「気持ちは嬉しいけど、実はそんなに決まってないんだよね。まだこのゲームの方向性も分かってないし」
「そうか。まあそりゃそうか」
「とりあえずイベントいっぱいやるって公式は言っていたから、それに参加していっぱい活躍しようと思ってる。その中で私の方向性が決まれば良いかな」
「そうかい、分かった。じゃあとりあえずそれに付き合うわ」
「うん、有難う」
私がお礼を言うとマイは当たり前だという顔で頷いた。やはり持つべきものは親友だな、うん。
「よし、それじゃあそろそろ訓練を再開するか。せめて一本くらいはお前の矢が当たるようにしねえとな」
マイが剣を肩に担いで場所を移そうとする。私もそれに付いていこうと立ち上がろうとした。その時だ。
「――いよお。そろそろ話良いかあ?」
背後から声を掛けられた。
いつの間にそこにいたのだろう。私達から十数歩離れた場所に二人の男女が立っていた。一人は筋肉モリモリマッチョマン。ジャケットは着ているもののほぼ上半身裸で、
もう一人はビキニの女性だ。石英が散りばめられた金色の巻き髪に褐色の肌。ボンッキュッボンのボディを紺色のビキニと革のベルト、革の手甲で包んでいる。瞳は血の如き鮮やかな赤色であり、一目で現実にはいない人種だと理解する。
そんなビキニ女は残忍な笑みを浮かべると私達にこう言った。
「どーも、お二人さん。PKでございます。おい