「パラメーターはどうする?」とマナちゃんは私に問うた。
このゲームにおいてパラメーターはレベル、
「精神値って?」
「魔術の威力やレベルアップ時の魔力の上昇具合を決めるパラメーターだよ。他のゲームで言う所の
「成程……」
この世界では知力ではなく精神力が魔法の優劣を左右するのか。確かに
いずれにしてもプレイヤーである私の知性も精神力も影響しないのだけど。
「あの……極振りってネタになると思いますか?」
おずおずと手を上げてマナちゃんに問う。
極振り。それはプレイヤーがパラメーターの数値を自分で振り分けられるゲームの場合に、一つのパラメーターにポイントを全部注ぎ込むスタイルの事だ。これによってPCはかなりピーキーな性能になり、普通のプレイでは味わえない面白さが生まれる。その分、扱いはかなり難しくなるのだけれど。
「ほーん、すのこちゃんも極振り勢? なるにはなるけど、ネタ被りはするかな。もう既に幸運値極振りとか器用値極振りとかいるし」
「そ、そうですか……」
ネタ被りしちゃってるかあ。皆、考える事は同じなんだな。いやでも、だからといって薄味のキャラを作っても刺激が足りないしなあ。どうせやるんならインパクトが欲しい。
「じゃあ、その、敏捷値にポイント全部でお願いします!」
「すのこちゃんも好き者だねぇ。止めないけど。そういう一見お馬鹿な……ゲフンゲフン。思い切った事する人、好きだし。けれど、それでも弓使いで敏捷値極振りってのはなかなか見ない組み合わせだねぇ」
普通はナイフ使いとか二刀流とか盗賊とかが敏捷値を求めるものだと思うけど、とマナちゃんが零す。私もそう思います。でも良いんです。弓でやりたい事があるのだから。
「はい、これがステータス画面ね」
そう言ってマナちゃんがどこからともなく取り出したのは一冊の本だった。
取扱説明書を読んだので知っている。この本の名前は『
教典が宙に浮かび、ページが開かれる。表示されたのは私のパラメーターだ。