第一話 後説 オチの打ち合わせのお知らせ

 ロールを終えた縁と風月はロビーへと帰って来た。


「お疲れ」

「うむ、お疲れ様」

「いや~縁が追い込まれるとは」

「俺もビックリだよ」

「プレイヤーなのにビックリしてんのかい」

「そりゃそうだ、流れに身を任せているもの」

「水の流れかよ」


 そんな話をしていると、斬銀がやって来た。


「おう、2人共お疲れ様」

「おや斬銀さん、今から?」

「いや、もうあがる」

「おお、丁度良かった、ちょっとお願いがあってさ……へへへへへ」

「何だ何だ、胡麻を擦るな」

「おいしい物でも食べながら聞いてくださいな、旦那」

「テンション高いな」

「縁が気絶したからね、なんつーか人間の魂の一撃を見た」

「……縁が……苦戦!?」


 信じられにないといった顔をして、エフェクトバリバリ使って驚いている。


「いやいや、縁も苦戦くらいする」

「いや、俺が知っている限り今まで両手両足で数えられる」

「えー? そんなに少ない?」

「昔はイキリチラシてたし、今はラブパワー無双だろ」

「……」


 縁はそっぽを向いた、思い当たる出来事があるようだ。


「善処します」

「何をだよ、とりあえず飲みに行くか?」

「はい」

「よっしゃ、何時もの居酒屋でね~」


 ログアウトをした長谷川達は斬摩と合流した。

 そして何時もの居酒屋へとやってきて、何時もの席に通される。

 品物を注文して、待つ事数10分、サービスとして刺身盛り合わせがついてきた。

 何時もの飲み会が始まった!


「で、話とは何だ?」

「実は今何となく始まってしまった縁と絆の再戦争」

「あれ何となくなのかよ、絆が率先してまとめ役やってたぞ」

「それは知らなかった」

「兄がそれでいいのか?」

「ああ、アイツは人に任せるくらいなら自分でやる」

「まあそれはちょっと置いといて、改めて話とは?」


 長谷川は簡単に今回起きている戦争のオチを簡単に伝えた。

 終わったと思った時に真の黒幕が居て、そいつが縁を連れ去る事。

 風月、スファーリアが一人に戻り結びになる事をだ。


「ほう、なるほど……確かに一人に戻るって場面は見せ場だな」

「で、数人にはオチを伝えて、協力してもらおうかと」

「秘密は少なければ少ない方がいいぞ?」

「だから今の所は、私の両親とおばあちゃんに話はしておこうかなと、設定だけど、一人に戻る時に儀式みたいのがあるから」

「なるほど……よし、俺もやられ役を買って出よう」

「えぇ!? ダシになるの? おでん?」

「理由としては十分だと思うぞ? てかおでんじゃない、ダシだが」

「どゆことさ?」

「おそらく結びは邪魔する者に容赦しないだろう、その機会を逃す斬銀ではない」

「おお~なるほど、本気と戦えると」

「だが斬銀は斬銀で、心に多少の迷いがあるのだ」

「それは?」

「やってる事は今まで成長を見てきた縁の邪魔だからな、そりゃ心の隙もあるさ」

「覚悟が違うと」

「結びは縁を助ける、斬銀は本気を知りたいが命を張るほどじない、これじゃ差が出るな」

「出るね~」


 荒野原は勝ち誇った様に、ノンアルコールのお酒を浴びるように飲んでいる。


「ふと思ったんだが、このロール終わったら何かやるのか? 遂に結婚とか?」

「それも大事だけど、ゲーム内でもイチャイチャしようかなと」

「ほう」

「自社コラボってか、自分のお店の料理をゲーム内で再現している人達っているじゃん?」

「ああ、居るな」

「その人達のお店にゲーム内とリアルでも行ってみようかなと」

「お、旅って感じか」

「そんなに遠出は出来ないけどね」

「っておい長谷川、どうした? さっきからメニューとにらめっこして」


 長谷川は少々神妙なメニューを見ていた。


「いや、いつの間にかメニューが増えてて」

「飯屋なら増えるだろ」

「いや、これ」

「んん?」


 そのメニューには、幸運の神様御用達お二人様限定メニューと書かれていた。

 他にも同じ様なコメントがあるセットメニューがいくつかある。


「何か宣伝に使われてるな」

「悪い気はしない、それに頼んだ料理に色付けてもらえてるし」

「本当だよ、刺身盛り合わせがサービスて」

「んじゃご厚意に感謝しつつ、打ち合わせしましょうぜ~」


 こうして打ち合わせはまだまだ続くのだった。