縁と風月はサンディ・シーナに呼び出されて桜野学園へとやって来た。
職員室へ行くとサンディは、少々やつれている顔をしている。
「……おう、縁に風月」
「サンディ、おはよう」
「はろぅ、シーナ……その顔、楽しいお話ではないようね?」
「ああ、ちょっと話がある」
「俺が何か迷惑をかけたか」
「お前を恨んでも仕方ない……うちの生徒がやられた」
縁と風月が殺意が込められた目と声になった。
「誰がやられたんだ」
「ああ、お前とは一度しか顔合わせしていないが、クラッシュ・
縁が一度だけ挨拶した生徒達、合同授業の一環として、生徒は先生を選び一カ月授業をする。
その生徒達は縁を選ばなかった、なのに被害にあってしまった。
敵は縁と一瞬でも接点が有れば敵と認識するのだろう。
「誰にやられた?」
「ああ、正義を振りかざす一般人だよ」
「ほう」
「報道関係者がお前を追っかけまわさないのは知ってるだろ?」
「ああ」
「あ、そうなの? 何で? ムカつくけど縁はいい対象じゃん?」
「簡単だ風月、昔好き勝手絆の事を書いて自滅した」
「あー」
報道関係者が記事を書かない理由、本当に喧嘩をしてはならない奴らを知っているからだ。
それは読者や世間、数が多い方が勝つ。
最初は不幸の神が反乱とでも書けばいいだろう。
そしてそれっぽく書けばいいだろう。
だが真実は虚言に近寄って来る、真実が確証を得た時、噓は居なくなる。
「書けるのは、最初から俺達を養護してた報道関係者くらいだ」
「あ、居るんだ」
「そりゃな、てか話が少しそれたな、何処の一般人だ?」
「真実を伝えるとかほざいている動画投稿者とか、口だけ達者な一般人とか、正義を振りかざしたい奴とかな」
「またその
「まあまあ縁、そんな人間は殺そう」
「風月、お前一応教職なんだからな?」
「シーナ? 界牙流四代目にそんな言葉は通じない、縁の敵は全て滅ぼすよ? 私の幸せの為に」
「スファーリアの方が物分かりがまだいいな」
「ん? 我慢してるだけで考え方は私と同じだよ? 一心同体なんだから」
「縁からも何か言ってくれ」
「んー……サンディの生徒にちょっかいかけた奴は、死んでいいんじゃないか?」
「縁、お前もそっち側かよ」
サンディは殺意マシマシな2人を見て呆れていた。
「てか何で襲われたんだ? まずそこからだよな」
「お前と関わり合いがあると因縁つけられたらしい」
「ええ……一瞬しか接点なかったじゃん、何をされたんだ?」
「誹謗中傷、脅し等々、まあ『一般人』って盾を存分に使ってたよ」
サンディは対応に追われていたのか、凄く深いため息をした。
「うんうん殺そう、現に縁に迷惑をかけてるし」
「いやいやいや縁、一般人殺すなよ」
「実に残念だが、今神社が復興中でね……意味はわかるだろ?」
「かぁーこれだから神様は面倒くさい」
「縁、それって斬銀が『もう暴れるのは止めろ』と建てたのがあの神社だっけ?」
「そうだ風月、あの神社が無いなら暴れていいったて事だ」
「大義名分を得るんじゃねーよ」
「いやお前本当に変わったな? 昔は血の気が多かったのに」
「……なりたかった教師になったからな」
サンディの顔は疲れているが、満足そうな顔していた。
それを見た2人も釣られて笑顔になる。
「んじゃ、これ以上シーナには迷惑かけれないから、行こうか縁」
「ああ」
「……私が言えた立場じゃないが、暴れんなよ?」
「無理だね~」
そう風月は言って縁と一緒に職員室を出た。
「って、風月、敵が何処に居るのか知ってるのか?」
「ああ、今スファーリアがルティとママ友会してるのよ、そこで聞いた」
「身体が二つ有るって便利だな、てか何時の間に」
「まあまあ、それよりも迷惑一般人が演説しているらしいよ? 今日」
「何処で」
「ルーティアって街」
「ちょいまち」
縁は鞄かせ分厚い本を取り出した。
本にはその街の法律やルールが書かれている。
ルーティアの項目を見ている。
「なるほど、ここの法では神は好き勝手出来ない様だ、少しは頭を使っているな」
「でも界牙流なら大丈夫」
「法なんて関係ないから?」
「いや? 昔、界牙流に関わって街が悲惨な目にあってね?」
「どんな?」
「簡単に言えばそこの権力者が界牙流に喧嘩を売った」
「いや本当に何が有ったんだよ」
「脅して飼い犬にしたかったんだらしい」
「里の誰かを人質にして脅したとか?」
「うん、だから話が通じる相手は生かして、通じない奴は殺した」
「その街の歴史に刻まれてそうだな」
「そ、だから同じ事が起こるか、私達は関係ないを貫くか」
「間違いなく住人は知らん顔するなだろうな、てかその時の権力者バカだろ」
「じゃ……今はどうか確かめに行こうか」
「ああ」
2人はルーティアの街へと向かうのだった。