――これまでの章紋のトバサ――
「まさかここでパンクするなんて……」
道中、車がパンクして立ち往生したワタシたちは、ひとまず食事を取るため、近くにあった看板を頼りに喫茶店セイラムを訪れた。
「ねえ、10年前の事件……教えてよ」
「……わかった。思い出してみよう」
そこの忘れんぼうの店長さんから、ワタシたちは10年前の事件にまつわる重要な情報を聞くことができた。
真夜中の森を歩くと、羊の頭を持った悪魔“バフォメット”に襲われる。
もしも捕まってしまうと、体の部位をひとつ切り落とされ、
裏側の世界に連れて行かれる……
「!! イザホに何するの!?」
店長さんがカウンターから離れている時にやってきたローブを着た少女によって、ワタシたちは裏側の世界に連れて行かれてしまった。
「ねえ、楽しんでくれた?」
そこで空っぽの頭蓋骨をかち割られたり、パレットナイフを片手に持ったローブを着た少女に殺されかけたけど、店長さんの助けもあって、裏側の世界から脱出することができた。
「ねえイザホ……ボクたちの新生活の場所をここにして、やっぱり正解だったみたいだね」
「私は忘れっぽいからな。これに懲りずにまたこの喫茶店に来てくれ。その時に思い出していれば、教えてやる。覚えていたらな」
今日の裏側の世界の出来事……都市伝説とは形が違うけど、確実に10年前との共通点があるはずだ。
ワタシは生き返った“
ワタシの存在を見つけるためには、10年前の事件を知る必要がある。
だから、この鳥羽差市に引っ越すことにした。マウと二人暮らしをすることにした。