第13話 魔法が全部特1級?それ国が滅ぶぞ?

「攻撃魔法、身体強化、神聖魔法が全部特1級!? 何この俺の考えた最強の冒険者みたいな能力!」


「そんなに凄いんすか?」


「凄いも何も特1級って魔王が現れた時に現れる勇者でも何個か特1級あるぐらいでこんな全部が特1級なんて人いないわよ」


 魔法のレベルは無から始まって10級から段々と数字が小さくなっていき、1級が最高値で、その後は、上10級になり上1級を超えると特10級で最高が特1級となる。


「ここまでくるとどんな化物が来ても関係ないわね。天才中の天才よ。スキルも見てみるだわさ」


 紙の上には隙間なく所持スキルが書かれており、そこだけでもハッキリ言って十分なほどのスキルなのだが、これ以外のスキルもテーブルにビッシリと書かれていた。


「国滅ぼせるレベルじゃん……」


「転生者って強くてスキルも豊富に持ってること多いらしいけどこれは論外だわさ。小さい子がやる魔法使ってみるだわさ。多分凄さがわかるだわさ。コールちゃん教えてあげるだわさ」


「あいよ。じゃあハナ、手を握って人差し指だけ立ててくれ、それで指をよーく見て出したい魔法を考えながらどんな言葉でもいいから言ってみな」


「わかったっす!」


 ハナが人差し指を立て数秒指を見つめる。


「ブチョウ覚悟っす!」


 そういった瞬間、ギルド全体が一瞬青白い炎に包まれた。


「あっつううううううううううううううう!!!」

「ゲホッゲホッ! 何これっ!」

「えっ? えっ?」

「新手のモンスターかっ!!」

「メディーック! メディーック!!!」


 ギルド内にいる冒険者達が何が起きたかわからず全員パニックに陥っている。


「これが1番弱いこの人の魔法だわさ」


「いやービックリして指曲げちゃったっす」


「曲げてなかったら全員焼け死んでたわよ」


「ハナちゃんスゴー! ボクの弟子にしてやろう! よしよし」


「えへへー嬉しいっす」


「焼き芋できた」


「よくこの状況で芋持ってたなお前」


 それにしても今までに見たことない威力だった。


 子供が使う魔法でこれって普通の威力でも街が消し炭になるんじゃないのか?


「普通に魔法を使う時は手の平を向けて撃つのが基本だわさ。特殊な人だと人差し指だけ向けて一点集中で撃つ人もいるけどこの人には規格外だからあまり関係ないだわさ」


「今の見たらそうだろうな」


 範囲が広い狭いとか全く関係なく全てを無にできそうだよ。


「あーでもだわさ……」


 その時、俺はいきなり肩を掴まれて横に押された。


 どうにか倒れはしなかったものの押された肩が痛む。


「マドモアゼル! ちょっといいかな!!」


 振り返るとゴツい鎧を着込んだ銀髪のいけ好かないやつがそこに立っていた。


「お前誰だよ……」


 また面倒くさい奴が現れた。