カフェのテラスに座り本を片手にレイラはアイスティーを飲んでいる。
すると、向かいの席にドスンと一人の女性が腰掛けてきた。
「どうじゃ最近の調子は?」
他でもない、ヨーコが楽しげにレイラの顔を覗いている。
「最低ね……」
「じゃろうな、それはもうユキナが喜んで日々を過ごしておるぞ。こんな楽しそうなユキナはなかなか
ヨーコは今の見た目のことなど気にせず、腕を組んでガハハと高笑いをした。
「本当にそれが頭痛の種なんだけどね……。それで今日は何しに来たの……? まさかわざわざそれを言いに来ただけってことはないんでしょ」
「何ということはない、
ヨーコは真面目な顔をしてレイラの眼を睨みつけた。
「何のことかしら?」
「何もクソもあるか、ステラのことじゃ。何じゃあの
「……ユキナを狙うっていうのは許しているけど、あの子またやらかしたの……?」
「はぁ……。お主がそんな甘い管理の仕方じゃから……」
「…………」
ヨーコがキツくレイラの眼を見つめると、レイラはその圧力に耐えられず少しだけ目を
「ユキナだけを狙うのであれば良いが、アレは周りの無関係な人間をも巻き込むタイプじゃ。お主もワシも一般人に被害が及ぶのは避けたいじゃろうし、狙われる側のユキナでさえレイラフォード以外は基本的に殺さぬ主義の者じゃ。実力があるのは認めるが、アレをけしかけるのは嫌がらせ目的でも
「そうね……。ヨーコの言うとおり……返す言葉もないわ……。それならステラには『
レイラが深い溜め息をつく。この世界に来てから溜め息の回数が明らかに増えている。
「そもそもステラに関しては、言えばわかるが言わねばわからぬ者じゃ、お主は手綱をしっかりと掴んでおるつもりでも思わぬ事態を引き起こしかねんぞ。レイラフォードとルーラシードの赤い糸を紡ぐのはワシらの使命ではあるが、そこに至る過程も重要であることを忘れるでないぞ」
ヨーコの
「これでもなんとか少しは抑えたのよ……。ユキナが高校に潜入しているって知ったら自分も高校に行くって言い出したのよ……。本当に止めるのがやっとだったんだから、本当に……」
「うっ……。アレがワシの受け持つクラスにおるのを想像したら、確かに胃が痛くなりそうじゃわい……。確かにあんな
手を頭にあて、ヨーコもつい深い溜め息をついてしまう。
「はぁ……。ヨーコと話せて少し冷静になれたかもしれないわ。ユキナに嫌がらせされているような世界だから、
レイラは氷の溶けてきたアイスティーを一口飲み、頭だけなく喉も冷やした。
「ワシは今ユキナと共に行動しておるし、このまましばらくは続けるつもりじゃ。ユキナに恩が売れるのは今だけじゃろうからな。お主とやり取りしたことはわざわざ伝えるつもりはないが、あまりステラがやりすぎるようじゃったら、今後お主との付き合い方も考え直す故、
「そうね、ユキナはもちろんだけど、それ以上にヨーコを敵に回すっていうのもかなり
レイラがハァと溜め息をつくと、いつの間にかヨーコの前にクリームがたっぷり盛られたパフェが