窓の外には綺麗な青空が広がっていた。今日は雲一つない快晴だ。
相変わらず山や田んぼは青々と茂り、庭の草木は昨日の雨でキラキラと残った水滴を輝かせている。雨の後は自然の香りが強くなって、小鳥が忙しく鳴いていた。
何気ない夏の一日だった。
ちび達がラジオ体操に行っている間、あたしは一人で朝ご飯を食べていた。
お母さんは仕事に行く準備をしている。洗面所で忙しく化粧をしていた。
「愛花ー。今日はどうなの? また遅くなるの?」
昨日は随分遅くなった。あたしは努めて普通に答える。
「あー……。うん。多分」
「じゃあごはんは?」
いらないと言いかけて、やめた。今のあたしのってはそんな予定でも欲しかった。
それが今夜でも未来に生きていたかった。
「……遅くなるかもしれないけど、うちで食べるよ」
「そう。じゃあ冷蔵庫に入れておくからチンしてね」
「うん」
「よし。できた。いってきま~す」
お母さんは慌ただしく家を出ていった。
誰もいない家の居間であたしはぼそりと呟いた。
「いってらっしゃい」
少しずつ日が昇っていく中、蝉が鳴き出した。
今日も暑くなりそうだ。