7

 お邪魔しました、と千秋の家を出ると大和は「こっちや」と神社の方へと歩き出した。

「あれ? ここって美代の家やない?」

 愛里が言う。そういえば大和と美代は、家ぐるみでの付き合いがあると聞いたことがある。ということは、千秋と美代も繋がりがあったりするのだろうか。交友関係がごちゃごちゃしすぎている。

「せやで、昼間お祓いがどーのとか話しとったやろ。なら、ここが一番ええかと思ってな」

 神社に設置されている椅子に四人で腰掛けると、かなり狭い。その状態で大和は話し始めた。

「まずは、何の話が聞きたい?」

「千秋のあの感じって、やっぱり呪いとか関係あるん?」

 こういう時ばかりうちが出しゃばって、何とも言えない気持ちになる。

「あるで。でも、その前にイズモサマの話をしよか。あれは、強大な力を持った巫女やったモンやねん。今はミイラみたいになっとるけど、水を与えたら復活する。あれを封印したのは僕と千秋の祖先で、やから千秋をまず潰しにかかっとるんやろなぁ。早くまた封印せんと、華も真矢も危ないと思う」

 そう言われてもピンと来ないが、大和が言うならそうなのだろう。

「ほな、はよ封印せんと全滅やんか。どないしたらええの?」

「それがわかれば苦労はせえへんわ……美代も渋っとったのは単純に立ち向かう術がないからなんやろな、て予想できるし」

 八方塞がりだ。うちらに出来ることは、ないのだろうか。

「なあ、水を与えたらって今言うたよね?」

「言うたけど……それがどうかしたん?」

 怪訝そうな顔をする大和をよそに、真矢は話し出す。

「あの洞窟、結構湿度が高かったっちゅーか……水分が、あったやんな?」

 真矢の言いたいことがわかってしまった。

「つまり、その水分でイズモサマが復活してたとするなら……」

 流石の大和も青ざめていた。この中で無関係なのは、イズモサマの実体を見ていない愛里だけで、他は全員呪われていても不思議ではない。

「でも、イズモサマは呪いやから神社仏閣には入れへん……ここに居る間は大丈夫や」

 大和が自分に言い聞かせるような口調で言う。

「でも、そしたらどうやって家に帰るん?」

「そこはもう、運やな。お祓いも厳しいとなると……それしか言えへん」

 そんな無茶苦茶な、と言いたくなるが大和を責めることも出来ない。うちらはしばらく無言のままでいて、解散した。