───放課後
ミステリウム魔法学園の生徒になった私は、当然の様にルイさんが担任となり、魔法学や生前と同じように、数学や体育等の授業を受けた。
その中でも、個人的に苦手な科目を発見することができた。
それは……。
「全然理解できん！！」
苦手な科目が、魔法史だったことが判明した。
実際に今日、魔法史の授業を受けたが、全く理解できなかった。
大体、私はこの世界の人物じゃないから、魔法の歴史なんて知りもしない。
恐らく、そのせいなのであろう。
ちなみにマリアンヌたちは、委員会や部活を見に行ってしまったから、教室には私しかいないのだ。
部活や委員会よりも、授業の予習や復習が大事だから。アランさんやルイさんからも、まずみんなに追いつけるようにしなさいと、口うるさく言われていた。
「だとしても、難しくない！？ 魔法史以外は出来るのに、なんでこれだけ分からんのよー！」
静かな教室内に、私の疑問視する声が響き渡った。
すると、いきなりガラガラと教室のドアが開く音がしたのと同じタイミングで、『やっぱりな』と聞き覚えのある低い声が聞こえた。
身体を後ろに捻じりながら振り向くと、ルイさんの執事兼弟子兼先輩であるアノールがいた。
「アノール！？」
彼が教室に入ってきたことに対して驚いていると、『先輩をつけろ』と頭にノートをポンと置かれた。
「ごめんごめん。って何しに来たの？」
「敬語…まぁいい。ルイ様に頼まれてな。お前に色々教えてやってくれって。だから、毎日とはいかないが、部活や委員会がない放課後なら、いくらでも授業で分からなかった所を教えてやる」
「神か？」
真顔でご本人に呟くと、『阿保か』と言われてしまった。
いや、阿保だけど……。
「何も無い時は、俺がここに来るから、来ないときは部活か委員会だと思ってくれ。それで、今日は何を教えれば…」
「魔法史！！」
私はアノールの言葉を
本当に魔法史が苦手だと悟ったアノールは、深くため息をつきながらも、私に魔法史を教えてくれた。
＊
───３０分後。
アノールの教え方が上手く、内容がスラスラと頭に入ってきたが、少し疲れた私とアノールは、一旦休憩を挟むことにした。
「少し休むか？」
「そうだね。ところで、アノールは部活と委員会何やっているの？」
「先輩を付けろと言ったよな？ まぁいいか。俺とお前は親戚になっている設定だから……。特別に許そう」
「上から目線なんか嫌～」
アノールの顔面をジトーッと見て言うと、フッと鼻で笑われてしまった。
「なんかムカつく」
「悪い悪い。ちなみに俺の部活は魔法薬学部だ。委員会は図書委員会。ライは部活はやっていない。だが、委員会は強制だから、俺と一緒だ」
「魔法薬学部に図書委員会！？ めっちゃ、良いやん！」
「そうか？ 部活は魔法薬学部、魔法占い部、裁縫部。そして、
「
私は首を傾げると、アノールは頷き、
「あぁ。
……ん？
「今、茶会って言った？」
「言ったが？」
私とアノールは互いに顔を見合わせ、首を傾げた。
何故、茶会なのだろうか？ と。
「今までの緊張感を返して！？ 【ウィザード・セクト】って言ったから、緊張してたのに！！ 候補試験を受ける私からとして、そこから始めないと意味ないって思ってたのに！！」
「知らん。まぁ、俺は候補者じゃないが【ウィザード・セクト】には、成績の良い生徒も出れるから、俺は魔法薬学部にいる。【ウィザード・セクト】の候補試験を受けれる対象としては、
だから、お前には１年生の中で、成績１０位内に入ってもらう！ それが嫌なら、候補者となって
あっ…やばい！
私は、椅子から立ち、その場から去ろうしたが、強制的に右肩を強く掴まれ、アノールは眼鏡の位置を直し、彼の師に似た、ドス黒い笑みを浮かべ、私にこう言い放った。
「これからルイ様に代わり、この俺がお前を教育してやる。安心しろ。殺しはしない」
彼の宣言に私は、深く深呼吸をした後、思い切り叫んだ。
「アノールの馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁ」
───こうして、アノールのおかげ（せい）で、私の楽しい楽しい学園生活が、たったの１日で終了したのであった。