ステージは貴方にとって監獄だった。
ステージから降りることを許されない貴方を、私はただ見詰めることしかできなかった。
愛想を振り撒き、他者に擦り寄り、望んでもいない媚びを売り、心にもない台詞を吐いて華やかに舞い、触れたくもない相手の手を握り、差し出された色紙に慣れた手付きでサインをし、微笑み、そう、笑い、笑って、貴方はいつも笑っていた。
貴方は笑ったまま死んだ。
ステージが貴方を殺したのだ。
ステージから降りることができたとすれば。
類い稀なる才能の持ち主だった。
たとえ心がこもっていなかったとしても、貴方のくちびるから溢れる台詞はその瞬間芸術になった。
舞台装置のひとつもない、小道具さえ用意されていない空っぽのステージの上に佇んでいるだけで、貴方は誰よりも輝いていた。
星。
貴方は恒星。
周りにいる連中は、全員、貴方の光を浴びることでしか輝くことのできない惑星でしかなかった。
貴方を失って、今。
惑星連中は、まるで自分自身が恒星であるかのように振る舞っている。
許せない、と思う私を、貴方はどう思うだろう。
いつも通り、困ったように眉を寄せて笑うだろうか。
それとも、そんな怒りを抱いても仕方がないからやめておきなさい、と優しく窘めるだろうか。
どちらでも良い。
貴方はもういないのだ。
夜空のいちばん高いところで、誰よりも鮮やかに輝いていた星は、墜ちて消えた。
貴方はステージに殺されたのだ。