結論から言うと勝つことができた。
私をあれだけ煽ってきたプレイヤーはPVPにて私に一つもダメージを与えることができていなかった。
「弱すぎる…」
本当に勝つつもりだったのかという疑問が真っ先に来た。
そしてその疑問の答えもすぐに分かった。
答えは
あの勝負以来、私のDMにはとんでもない数の略奪戦申し込みメールが来ていた。
つまりあのプレイヤーは自らを引き金役としたのだ。
最速でカギを取ったプレイヤーより先に鍵を見つけるのではなく、鍵を持ったプレイヤーからカギを奪えと。
「やってくれたね」
私はすぐにDMを切りそれまでに略奪戦を申し込んできたプレイヤーを全員返り討ちにした。
だがその間に日は進み、【青のカギ】についての情報がすでに出回っていた。
「プレイヤーの誘導が得意なプレイヤーのサブ垢かな…あのプレイヤーは」
冷静に考えればあんなに弱いプレイヤーはそうそう見ない。
いくらデータがリセットされるといってもプレイヤースキルまでリセットされることはない。
だがレベルは初心者とは言えなかった。
本垢とは言わずとも、情報屋系のサブ垢…そう考えるべきだろう。
そして、あのプレイヤーはPVPにて鍵の掛け金としてみたこともないアイテムをかけたのだ。
「500円玉…?」
なぜこのゲームの世界に500円玉があるのかは謎だが、今まで長いことやってきた私でも見たこともないアイテムだった。おそらくはレアアイテムだろう。
「だけど鍵と同じ価値があるとは思えないけど…システムが略奪戦を成立させたのはバグ…?」
そんなことを頭の片隅に置きながら、私は次のカギについての情報を集めるのだった。