「はぁー……。強かったな、こいつ……!」
剣を床面に突き立てて支えにし、マイがぼやく。
確かにこのゾンビは強かった。勝った事には勝ったけど、泥沼の勝利だった。ルトちゃんの
「……ロント!」
ルトちゃんが駆けていき、少女に抱き着いた。
「……良かったよぅ。本当は、外でおっきな骨に襲われた時はもう駄目かと諦めちゃっていたの。それがまさかゾンビまで倒せるなんて。ロントを助けられて本当に良かった……!」
「ったく、オーバーなんだよ、アンタは。これはあくまでゲームだっていうのに。……有難う、ルト」
「……ん」
少女がルトちゃんを抱き返す。今この瞬間だけは二人の世界が出来上がっていた。
「はぁ~……生『ロンルト』……!
そんな二人を間近で見て、私のときめきゲージはMAXにまで達していた。思わず涙を流しながら合掌して拝んでしまう。てぇてぇ、ありがてぇてぇよぅ……!
「『ロンルト』って何だよ?」
「ん? ああ、あの二人のコンビ名だよ」
ボーイッシュな彼女の名は
ヒプノス・
それ故に二人には公認のコンビ名がある。それが『ロンルト』だ。
日本人は何でもすぐに略したがる。特に四文字に纏めたがる。だから、この二人のコンビ名は
カップリング名でもあるのだが、さすがにそこまで行くとファンの妄想だ。決して本人の前では口にしてはいけない。それはあくまでも公認じゃないからね。リスナーとしてのエチケットです。
「――すのことマイだね」
とルトちゃんと抱き合っていたロンちゃんが私達に顔を向けた。