「え、ええっと……それはどういう事で……?」
断らなくては。いや、相手の事情も知らないのにいきなり拒絶するのはよろしくない。断るにしてもとりあえずは話を聞いてからだろう。いやでも、こんな機会、今後一生ないだろうしな。本音を言えば断りたくない。しかし、私なんかが彼女に関わって問題にならないだろうか……?
などという私の葛藤をルトちゃんは次の一言で消し飛ばした。
「……わたしの友達が今、魔物に襲われているの!」
◇
先程このダンジョンは地下とは関係がないと言ったが、それは訂正しなくてはならない。このダンジョンには地下室があった。遺跡の奥、石畳の下に地下へと通じる階段があったのだ。地下通路は老朽化が進んでいる設定らしく、石壁が崩れて土塊が剥き出しになっていた。
「……わたし達もこの遺跡の探索に来ていてね」
とルトちゃんが地下通路を走りながら事情を話す。彼女達も私達と同じく配信と攻略の為にこのダンジョンに訪れていたのだという。
「それで、地下室を見つけて、テンション上がっちゃって奥に入り過ぎちゃったの。そうしたら強いエネミーに見つかっちゃって。何とか逃げようとしたんだけど、友達が『無理だ』って。『どちらかが残ってエネミーを引き付けなくては逃げられない』って。『だったらわたしが残る』って言ったんだけど」
「じゃあ助けを呼んできて」と言われたのだそうだ。「そんな事をするより、逃げて助っ人を連れて戻ってきてくれた方が全滅を免れる」と。それでルトちゃんは一旦逃げた。再び友達の下へ戻ってくる為に。その後、地上に出た所で先程のデカ骨に襲われたという訳だ。
「……これがただのゲームなのは分かっている。けど、それでも死ぬのも死なれるのもイヤ。全力を尽くさないで死ぬなんて納得出来ない。だから!」
そう言ったルトちゃんの瞳には炎が宿っていた。最後まで諦めない戦士の目だ。そんな目を見てしまったら、その意思を折ろうだなんて真似は出来ない。
「でも良かったんですか? 助っ人が私達で?」
ルトちゃんの肩の上には光の玉が浮かんでいる。
「……平気だよ。むしろ『積極的に他のVTuberに絡んでいけ』ってわたし達の会社からは言われている。企業勢でも個人勢でもそこは関係ないから気にしないで」
「それなら安心ですけど……ああ、でも緊張するぅ~! 他の人の配信に映るなんて初めてぇ~!」
「……え。それじゃあわたしが初めてのコラボ相手? えへへ、嬉しい」
「ひょえ……屈託のない笑顔が眩しい……!」
ルトちゃんの笑顔に腰が砕けそうになる。いやいや待て待て、しっかりしろ私。今は彼女の友達を助けるという緊急事態なのだ。ここで脱力している場合ではない。
「いたぜ! あれか!?」
マイの言葉に前方に目をやる。まだ距離がある先、そこでは一人の少女がモンスターと戦っていた。
年の頃は十代前半か。頭髪は短く、茶色とこげ茶の斑がある白色で非常に目立つ。耳は猫のものであり、人の耳は見当たらない。瞳は左目が