雅楽の演奏が響くなか御社殿に向かう行列と一緒に歩を進める
白無垢を着た私の隣に新郎はいない
着いた本殿で私を待っていたのは紋付き羽織袴を着た2メートルはあるであろう身長の顔の上半分を鬼を模した面で隠した男だった
巫女が舞うなかを歩き隣ではなく少し後ろに立つ
それを確認するかのように男はこちらをちらりと見やるが面のせいで表情は読めない
全員が入場したのを確認して斎主が祓詞を唱えて清めのお祓いを受ける
続いて祝詞が唱えられ誓杯の儀がとりおこなわれる
大中小の杯で交互にお神酒をいただく
そして男は誓詞奏上の言葉を読み上げ始めた
「今日この日、我が奉られし鬼神神社において式をあげ出雲紬を我の嫁とする、これからも変わらずこの鬼守村を守っていくことをここに誓う」
そう、この日私は村を守る鬼神の嫁となったのだ