私たちはデルタ町の地下坑道で鉄鉱石などを狙って探検中だ。
入り口から一番近い採取ポイントへ向かうことにする。
最初のポイントは銅鉱石のようだ。
ちょっと赤茶色に変色している場所に、慣れない動作でツルハシを振りかぶって壁を削る。
普通なら相当の力が必要だろうけれど、ゲームだからかそこまで力は必要なかった。
綺麗な赤茶の銅が採取できた。
「案外、簡単にできたね」
「たまに忘れそうになるけれど、ここはゲームなのですわ」
「そーだよー」
銅鉱石を20個ぐらい、アイテム名「石ころ」を同じく20個ぐらい採掘して、その場所を後にする。
それぞれ、レア度:1、ランク:2のノーマル品だった。
スキル「採掘:Lv1」がめでたく取得できた。
掘った場所はどうなるんだろう。
プレイヤーが大挙して押し寄せて、どんどん削っていったら、穴がどんどん深くなってしまう。
あと、町には井戸とか掘ってあるけど、坑道は水に沈んだりしないんだろうか。
薄暗い坑道内を進むと、次のポイントに到着した。
ここは
銅と錫をまぜて合金にすると青銅、ブロンズになるのだ。たぶん。
ここでは錫を10個ほど、石ころを15個ほど確保した。
石ころも、何かには使えるらしいのでストレージにしまっておく。
別にストレージにしまった分だけ、魔法の袋が重くなったりはしない。
「あー。意外とめんどくさいわ~。これは、毎日やりたいとは思えない作業だわ~」
クルミに同感だ。しかし生産職たるもの、単調作業に飽きたなんて言ってはいけない。
次のポイントも銅だった。上層部は銅と錫、あと石ころぐらいしか取れないみたいだ。
さらに進むと謎の部屋があった。
地図によると、坑道内の雑貨屋兼休憩室のようだ。
木の扉が設置されているので、開けて中に入る。
「いらっしゃい。こんにちは。休憩だけならタダだよ」
真っ青髪のイケメン青年が出迎えてくれた。
彼は、厚手のエプロンをしていて、長袖長ズボンを着ている。
少し休憩していこう。
坑道内で必要な雑貨をはじめ、携帯食料と水も売っていた。
「ここの携帯食料も不味いやつですか?」
「ああ、不味いと思うよ。それよりは、ここで出してるサラダサンドのほうがいいと思う」
私たちはサラダサンドを2人分頼んだ。
1つは私とサクラちゃんで分けて、もう1つはクルミが1人で食べる。
ハーブみたいなのが少しに、タマネギ、レタス、キャベツ、キュウリみたいなものが入っていた。
ハーブの香りと塩味ベースのドレッシングで美味しかった。
小さく切ったウサギの干肉も入っていて、アクセントになっている。
「坑道内だからね。ウサギの串焼きという訳にはいかないけど、野菜とパンを切る位ならできるさ」
さわやかに解説してくれた。
結局、タダのという言葉に誘われて、サンドイッチまで買ってしまった。
私たちは、次々とポイントを巡回して、かなりの数の石ころと銅、錫をゲットする。
あと最後の方で鉄も採掘できたので、がっつり取ってきた。
帰りは、道を地図を見ながらショートカットしつつ、最短ルートで地上に向かう。
坑道から出たら、周りがまぶしい。
やっぱり太陽の光の方が強いね。
夕方になる少し手前ぐらいの時間であった。
冒険者ギルドによって、銅鉱石を納品するクエストを受ける。
銅鉱石60個を収めて6,000セシルと、経験値も少しもらえた。
帰りに雑貨屋へ寄って、それぞれ小物など必要なものを買ったりする。
具体的には紐とかだ。
ニコライド夫婦の家に戻ってきて、夕ご飯を頂いて、夜の日課をしたら、あと寝るだけ。
おやすみなさい。