畑からの帰り道に、城門すぐ外側の林になっている場所を散策した。
「これが落雷草。
おじいさんは、林に生えている草を次々名前を言っては、用途を教えてくれた。
私たちはメモを取る。と見せかけて、知識システムが自動で記録してくれる。
このゲームでは、一度教わったことは、自動で知識システムに内容が記載される。
項目別になっていて、とても見やすく、絵というか写真なども掲載されていて分かりやすい。
そのかわり、採取ポイントへ行っても、マーカーが出たり光ったりしないので、採取する前に、その草を自分で識別する必要があった。
間違った知識を教えられた場合どうなるかは、まだわからない。
公式掲示板やwikiで読んだ内容も、脳波スキャンされているらしく、ある程度記載されていた。
ここは領主様の林で、勝手にとってもいいものの、取りすぎると怒られるとか。
自分で消費する分にはばれないが、大量にギルドに持ち込めばすぐばれる。
薬草類とキノコを採取して、町へ戻った。
農業ギルドへ行って、トマトとジャガイモの代金を受け取った。
収入を得て、ニコライド夫婦の生活は少しは良くなるだろう。
もう夕方になってしまったので、薬草類で、乾燥させるものは陰干しだけする。
美味しい夕ご飯を頂いて、各自部屋へ戻った。
クルミとサクラちゃんは、今日も部屋でペンダントを作っている。
今日は工夫をするのだとか、違うものを作るとか言っていた。
私は掲示板とwikiをざっと眺めてから、数学の勉強をして過ごした。
リアルで私は浪人生だった。
こうして毎日少しずつでも忘れないように勉強もしている。
6倍速で勉強したら、ものすごいたくさん勉強できるね。
2人も勉強はしているらしい。全然そんな気みせないけれど。
家族や友人と直接通話は、6倍速の関係上無理だけど、テキストチャット系ソフトがあるので、問題なかった。
お母さんも始めようかしら。とか言っているが、今からでは入手不可能だろうし、結構なお値段なので、つらいと思う。
15日目。
今日も美味しい朝ご飯、ジャガイモのポタージュとパンとサラダだ。
私は朝から、薬草類から作る各種耐性ポーションや耐性薬を作る。
空き瓶はおじいさんに頂いた。
おじいさんは意外と指導は厳しくする主義らしく、ビシバシ指導された。
「擦り方がなってない。もっとこう、均一になるように心がけて外と中側を交互に回すんだ」
各種ポーションはどれもランク3だった。
最後に5級ポーション(渋み控えめ)を作ることになった。
「なるほど、60度で淹れるのか。ポーションは熱湯で作るのが常識だったから、盲点だったな」
私は、おじいさんにオリジナルレシピを見せて、認められたようだ。
●5級ポーション(渋み控えめ)
HPが回復する。通常より渋みが抑えられていて、飲みやすくなった。
種別:ポーション、飲み物
レア度:2 ランク:4
HP回復:1分で70上昇
はじめて、ランクが4になった。一連の調合作業でスキル薬師もLv5になった。
おじいさんの指導の賜物ですね。
成果が目に見えるって本当に素晴らしい。やりがいがある。
一口飲んでみるおじいさん。
「渋み控えめ、というか渋みはほとんど感じないな。むしろほのかな甘みがある。不思議なもんだ」
「そうでしょう。私頑張ったよ。アイディアはサクラちゃんだけど」
ポーションは、あまりNPCには需要がない。
もちろん冒険者をしているNPCも存在していて、そういうキャラには需要があるはずなんだけど、人口比でいえば、そこまで多くない。
レシピは秘密にして、商品だけ卸すようにすると良いと指導された。
それが職人の世界の常識だそうだ。
ついでに、調子に乗って、違うポーションも作る。
●5級ポーション(ツグミ味)
HPが回復する。ツグミ味で飲んでもおいしい。
種別:ポーション、飲み物
レア度:3 ランク:4
HP回復:1分で70上昇
●5級ポーション(ブドウ味)
HPが回復する。ブドウ味で飲んでもおいしい。
種別:ポーション、飲み物
レア度:3 ランク:4
HP回復:1分で70上昇
ツグミはストレージに残っていたのを利用。
ブドウ味には、おばあさん作成のブドウジャムを入れた。
「なかなかやるじゃないか」
「私頑張ったよ。やっぱりアイディアはサクラちゃんだけど」