私たちは草原でタコ型モンスターと戦闘中だ。
普段なら、サクラちゃんが盾で抑えながら、皆で攻撃するところだ。
しかし「美味しそう」と言う割りには、気持ち悪がっていて、盾で接近することを拒んだ。
「タコさんは盾はやめましょう。きっと取られてしまいますわ」
それも一理ある。
サクラちゃんとクルミは剣と槍を振って、触手を切断しようと奮戦している。
私はアイスブリーズが効くようなので、長い詠唱を唱えて凍らせて動きを止めさせる。
タコはクルミの槍の突き攻撃をぎりぎりでかわして、槍の穂先に触手を絡ませた。
次の瞬間、電撃エフェクトを全身に発して、槍伝いにクルミを感電させてきた。
クルミはビクンとなって膝をついた。
「うぉー。ビリビリしてるよ~。立てなくなっちゃった」
「なんとかしなければ、いけませんわ」
サクラちゃんが、思い切って盾をストレージにしまった。
片手剣を、すごいスピードで振り回している。
なんか、別人みたいにサクラちゃんからすごい気迫を感じる。
「乙女のピンチですわ」
それ、この前も聞いたぞ。しかもオオカミに殺された時だ。
私も必死に、アイスブリーズで攻撃する。
感電効果は思ったより長かった。
クルミの復活まで1分程度必要だった。
復活したクルミは、槍を構えなおして、3連撃を、今度は触手ではなく、目の近くの頭を攻撃する。
タコが目に見えて、怯んでいた。
「ふー。タコっぱちの弱点は頭への攻撃みたいだ」
サクラちゃんもクルミと連携して、タコの頭を狙うが触手が邪魔だった。
私がアイスブリーズを詠唱付きで唱えて、タコが硬直したタイミングで、前衛の2人が頭を狙って攻撃した。
ついにタコは、伸ばしていた触手を地面に伏せて死亡したようだ。
新敵恒例、ドロップ確認。
●平原タコの身
タコの身。生でも食べられるがあまりお勧めはしない。
種別:素材、食べ物
レア度:1 ランク:2
満腹度:50回復
●魔物の核
錬金素材。魔物のエネルギーが凝縮されている。
種別:素材
レア度:3 ランク:2
加工は例によって、タコの串焼とか、タコの干身とかだろうか。
そういえば、オオカミの肉もかなり残っている。腐らないといいけど。
弱点が分かれば、対処はしやすい。
それと盾でガードすると、たぶん電撃を食らうのでダメだろう。
サクラちゃんの予想とは少し違ったけど、行動は正しかったのだ。
オオカミも倒したし、テンタクルも余裕だろうと思って、情報収集を怠っていたのだ。
気持ち悪いとかは見たが、掲示板をすべて読むと時間がかかるから、斜め読みしていた。
その後も、単独のタコを何匹も凍らせて、頭を狙って攻撃した。
魔物の核は、最初の1匹以来、1つも落とさなかった。どうやらレア枠のようだ。
錬金素材なら、村長の領分なのかな。でも錬金と薬師は違うよな。
私の魔法は、ターゲットは思考操作で指定しているだけで、どこの場所に当てるかまで正確なコントロールは今の所できていない。
少し早めに切り上げて、タコ地帯とプリン地帯の中間にある、石の遺跡みたいなセーフティーエリアに寄った。
ストレージから薪を出して火をつける。
タコを焼いてみよう。
これが本当のタコ焼きだ。
料理「タコの串焼き(塩
串焼きは3つだけ。
例によってタコの身1つを一口大に切り、鉄串に刺して火で
残りは全部干し物にした。
「わー。串焼き美味しいね。干しダコもビールにあいそう」
「淡白なうま味と、甘味がありますわね」
ウサギもいいけど、タコも結構おいしい。よかった。
これなら、まだ狩れるユーザーも少ないし、商売になるぞ。
そうそう、ついでにオオカミの肉も焼いてみたけど、感想は以下の通り。
「なんか、肉がパサパサして固い気がする。ウサギの方が好き」
「柔らかくする下処理と、旨辛のタレが必要そうな、そんな、気がいたします」
オオカミ肉まだ残ってるんだよね。どうしようかな。