マイケルは村長曰く、かなり出来がいい。
まず注いだ魔力がベテランの村長、攻撃魔法系の私、白魔法系のヒカリちゃんのもので、魔法全般が得意な性質になったようだ。
ただし問題もある。それはHP回復のヒールとHP/MPポーションが効かないのだ。理不尽である。
使い捨てと言う訳ではない。
回復には、時間経過または主人の魔力を注いでやる必要がある。
自動人形:茶色ウサギのぬいぐるみ
名前:マイケル
一針一針頑張って縫ったぬいぐるみ。癒しの力が込められている。錬金術により自動人形化。
レア度:5 ランク:4
Lv:1
HP:200/200
MP:250/250
主人:ヒカリ
※特殊制約:主人変更不可
防御力:10
魔防力:15
回復力:20
装備
(なし)
スキル
ウサギパンチ:Lv1
ヒール:Lv3
マジックボール:Lv1
アイスブリーズ:Lv1
私が魔力を注いだせいか、マジックボールとアイスブリーズを覚えていた。
5人プラス、マイケルで草原にやってきた。
私たちは見学だ。
まずはウサギ戦から。
マイケルのウサギパンチが決まる。
防御力高めのマイケルはウサギの攻撃ぐらいではHPがほとんど減らない。
次はアイスブリーズからのマジックボールとパンチ攻めでウサギをやっつけた。
「マイケルよくやったね」
「ヒカリちゃんありがとう」
ジャンプはできるけれど、空を飛んだり浮いたりはできないようだ。
ウサギをやっつけたマイケルはヒカリちゃんに抱かれている。
さらに何回かウサギ、プリン戦を行った。
ちなみに、召喚獣やテイムモンスターは良くパーティー枠を占領するというゲームが多い中、このWVROの自動人形は主人の装備扱いで、人数にカウントされないらしい。
装備なので、外してストレージに放り込むと消える。
経験値は本人の働きで増えると言われているそうだ。
実験したところ、これまた良く分からない理屈で、剣などを装備できる。
ぬいぐるみだったので、指がないけれど、吸い付いているみたいになっている。
ヒカリちゃんとおじいさまは、これから用事があるとかで、帰って行った。
私たちも一度戻ることにする。
何となくの習慣として、露店は午前中に出すというのが、東村のローカルルールみたいになっている。
朝から売るから、昼には売り切れるだけともいう。
現在の時間はまだ9時を過ぎたころだ。
露店を見て回るとプリン産の武器が思いの外たくさん売っていた。
ハンマー、斧、鎌、短剣、ナイフ、杖、ロザリオがあった。
「杖見てってよ。何と火魔法を覚えられるレア武器だよ」
ついに露店にも出たか。
いくらだろうか。
「10,000セシルでどうだい。スキル付きだから安いと思うぜ」
悩む。出来るなら基本属性ぐらいは揃えておきたい。
しかしデルタ町までたどり着けば、いくらでも覚え放題という噂というか希望みたいなものがある。
「火魔法の特性は? 何か利点は?」
「お姉さん良い着眼点だぜ。火魔法は火力重視だ。他の魔法より攻撃力が高い。防御が高い敵におすすめだぜ」
「クルミ、サクラちゃん、どうしようか」
「ミケがほしいなら、いいよ。お金結構あるし」
「はい。ワタクシもミケさんが必要とするなら、構いませんわ」
「いいこと考えた。氷結の杖と交換とかどう?」
「『古い氷結の杖』か。どれどれ、なるほど」
店主に氷結の杖を見せて、交換できないか確認する。
アイスブリーズの氷結効果も伝える。
「ただの交換だと、俺の利益がないぜ。2,000セシルと杖交換でどうだ?」
「分かったわ。それでいいよ」
杖はただ使っただけでは、耐久が減らない。
ダメージを受けたり、直接殴ったりすると、耐久が減るそうだ。
だから私の杖は、ドロップした時と比べて耐久がほとんど減っていなかった。
耐久が減ると評価額がある程度下がる。
私は2,000セシルを出して、用済みの氷結の杖と『古い紅蓮の杖』を交換した。
氷結の杖は、上に多角形の氷の意匠がついていて、全体的に紺色だった。
紅蓮の杖は、てっぺんに炎の形の彫刻があり、全体的に赤黒い色をしていた。