うん。今回は『料理』ということにしよう。
半分は未定だ。
まず、魚釣りについて。
魚介類は市場にいけば何でもだいたい買える。ただお値段はやや高めだ。
自分で釣るほうがお得になる場合も多い。
この前のロブスターなんかが典型例だ。
地元民は、お肉もお魚もよく食べる。
グルメだけど調理法はシンプルなものが多い。
俺たちの状態は、調理器具をある程度は揃えた。
七輪、鍋、フライパン、トング、まな板、そして包丁。
みんなを代表してオムイさんが担当、保管している。
包丁はちょっとした武器並みのお値段だった。
モンスター肉も切れるいいやつなんだそうだ。
味付けも、塩、コショウ、砂糖、バター、オリーブオイル、ゴマ油、ビネガー、ニンニク、バジル、唐辛子、レモン、ライム、タイム、ローズマリーとか結構揃えた。
醤油、味噌、そしてお米はこの国では流通していない。
ゲームが日本市場をメインで考えていないことと、異世界風だから、探検して見つけるのがそれらしくていいということだろう。
辛みは、大根、洋ガラシ、ホースラディッシュという洋ワサビなどもある。
俺のお気に入り料理は、アベルボアの香草焼きだ。
最初に食べたものに近いが、マイナーチェンジしてより美味くなった。
ウサギの淡白な肉質も、バター焼きとかにするとかなりいける。
もちろん作るのはオムイさんだ。
俺は食べる専門で詳しくは知らない。
ちょっとお願いとか好みとかを言うだけ。
楽ちんポジション。
ゲームの料理は、現実にかなり近い。
しかし煮込み時間などが短縮化されていて、長時間煮込み続けないといけないとかは、なくなっている。
簡単、ご都合主義だ。
それでも材料は揃えないと、その味に基本的にはならない。
そして便利なのは「うま味調味料」という究極の材料もある。
固形の「スープの元」「ブイヨン」と「コンソメ」もあるので、購入済みだ。
中世では存在しないはずだけど、どこかの誰かが生産しているらしい。
これがないと、洋風料理の作成は、野菜を煮込むところから始めて材料集めも面倒くさいし、値段もかなり掛かる。
俺はリアルでの食生活はかなり適当だったのに、異世界ではグルメになっちまった。
それの影響でリアルご飯もカップ麺からコンビニ弁当、パスタ類とかサラダとか食べるようになった。
少しだけ健康的になったと思う。
今日も市場で流通してないレア食材を得るために、遠征する。
目的地は南側、沼地地帯。
「というわけで、カエル、ナマズがねらい目です」
「ゲテモノですかね?」
「まぁ文化の違いみたいなもんだな。比較的普通だと思う」
「そうですかね」
「うん」
オムイさんの突っ込みは現代っ子の代表のようだ。
ナマズなんてどこの国でも食べるし、カエルだって食われまくりだ。
どちらもあっさり系で、獣肉系ではないので、女の子でもそれほど抵抗はないはずだ。
ナマケモノとかヤマアラシとかの肉は臭いらしい。
下ごしらえや、調理方法でも変わるとは思うけど、あんまり食べたいとは思わない。
そういう意味ではモンスター系食材は、少し獣肉系だから、牛肉とかの独特な臭みがあるかもしれない。
そのぶん旨味も強いと思うんだけど、ほとんど流通していないので、まだ食べたことはない。
美味しいドラゴンステーキが将来の目標だ。
いやー、グルメになったね、本当。
歩いていき、沼というか泉みたいな場所に来る。
人も住んでいないので、凄く水がきれいだ。
今日はこの前と違い、投げ釣りにする。
運河は足元も深いけど、天然の泉は岸辺は浅いからなんとなく、深いところを狙いたい。
「こうこう、こうやって、えいっ、て投げる」
「「おぉおお」」
女の子たちにレクチャーをする。
俺の株も上がって素晴らしい。
投げるときにリールのロックを外して、糸を指で押さえる。
釣り竿を勢いよく投げる途中、向こう側75度ぐらいで指を離すと、ボール投げみたいに飛んでいく。
離すタイミングと勢いが重要だった。
パソコンゲームでは、ゴルフゲームみたいに勢いバーが進んでちょうどいいところでマウスを離すような操作をして、投げる要素があったりする。
それでもマウスと実際に体を使って投げるVRでは、全然違う。
「何が釣れるでしょうか」
底を這わせるような感じで糸を調整しながら巻いていく。
浮き釣りなら巻かないで、そのままにするけど、今回はそういう仕掛けではない。
ゆっくり手繰り寄せながら、餌を動かしていく。
餌の動きに釣られて食いついてくるやつを狙うんだ。
1回目は空振りかと思ったそのとき、糸が引っ張られて当たりを感じる。
「なんかきた!」
竿を立てて、リールを巻きながら駆け引きをする。
強く巻きすぎても逃げられる。
「見えた! 魚。ナマズっぽいな」
初投はナマズだった。
大きさは35cm。
「タカシさん凄い」
「ぐふぅ。それほどでもありませんぞ」
「兄ちゃん、しゃべりかたが、キモくなってる」
「う。嬉しくてつい掲示板のキモ男みたいになってた」
その後は、みんなが投げるのを、手取り足取り、教える。
まず立つときの足が反対の子がいたり、なかなかどうして、変な子もいる。
よくそれで戦闘とかこなせるな。不思議だわ。
「おぉ、ロブスターですかね」
リリーが赤茶の大きいカニエビを釣りあげた。
鑑定結果は、ザリガニだった。
淡水はザリガニ、海水はロブスターだそうだ。
運河は水底のほうは海からの海水が入り込んでいる。
かなりの大物だった。
そして下手な子が明後日の方向に投げると、岸辺のカエルが釣れる。
「やだあ。カエルだ。でかいよ。キモっ」
ユマルだ。大きいウシガエルみたいのが食いついていた。
もちろん触れないので、針を外すのは俺の仕事だ。
針といえば、釣りの針は普通は小さなカエシがついていて、抜けにくくなっている。
VRのこれでも付いていて、精密に再現されていた。
本日の釣果は、ザリガニ、ナマズ、カエル、以上。
今回は針一本で、大きめ狙いだったので、小さいのは取れなかった。
ナマズは最初に釣れたのと、オムイさんが釣った40cmクラスの2匹だ。
普通なら、泥抜き、砂抜きしないととても食べられないが、ご都合主義ファンタジーなので大丈夫とWIKIにも書いてある。
醤油がないので、ナマズの蒲焼きにできない。
塩焼きにしてもらった。
ダイコンオロシと、レモンを添えて、頂く。
カエルは皮を剥いで身だけにして唐揚げにした。
ザリガニはバターチーズ焼きと、コンソメスープだよ。
一日掛けて釣りをしたら、かなりの量ができた。
女の子たちがきゃあきゃあ言いながら捌いたり料理してくれた。
ぶっちゃけ食べても余るほどあった。
残りはアイテムボックスに詰め込んである。
露店で売ってもいい。調理師免許とか食中毒、寄生虫とかこちらもご都合主義ファンタジーだから問題ない。
今回は、あるあるは紹介できなかった。
料理は材料揃えて、料理鍋でポチっとするだけのパソコンゲームが多かった。
味覚再現とか料理再現とかまでは、あるあるになっていない。
カエルの皮はソフトレザーとして利用できるので取ってある。
これはVR小説あるあるだろう。
耐水性などに優れているとされる。
現実でもサイフとかにするようだ。
料理あるあるとしては、バフ効果がある。
あるあるでは、レア素材、モンスター素材の料理にはバフがつきやすいとされる。
このゲームでは、むしろ重要なのは味だった。
味覚再現によるグルメ道は、太らないし健康被害も食中毒もなく、安心設計だ。
キノコ狩りと、キノコ鍋とかもいいかもしれない。
異世界最高です。