第20話「次の土地へ」

村に戻れば驚いた顔でペトラさんが出迎えてくれた。村に人達ももう元気そうで、安心した。

「レオンさん達!?その龍はどうしたのですか……?お友達……ですか?」

「はい!この村を守ってくれるそうですよ!」

「龍がですか!?」

 ペトラさんは信じられないという顔で聞いてくる。大きな龍だ。村の人達もどんどんと近付いてくる。なんだか龍も誇らしげだった。

「お前たち……これは……!?」

 遅れて村長さんがやってくる。驚いた反応をしていたが、どこか懐かしい過去を見るような目をしていた。

「村長さん、なんとかこの村を守るためのもの、手に入れましたよ!そして、この龍がこの村を守護してくれるみたいです!」

 僕たちは手に入れたもの、起きたことを村長さんに説明した。彼は驚いたように声をあげる。

「龍が……?なるほど……まだあの龍はいたのだな……」

「何か知っているのですか?」

「少しまっておれ」と村長が古びた文献を持ってきてくれた。どうやら僕達と共にやってきた龍は古代からこの地を守ってきたらしく、それには何か理由があるらしいのだ。彼は「この村には昔から伝わる文献がある」と教えてくれた。文献は、黄ばんだページに古い文字で書かれたもので、ぱっと見ただけでは解読は難しそうだった。でも、アリアが持つ豊富な魔法知識と、ペトラの助力で、徐々にその意味を解き明かしていくことができた。

「これは……驚いたわ。エルミスが、ただの田舎の村じゃなくて、古代文明の重要な拠点だったなんて……」

アリアが感嘆の声を漏らす。文献には、エルミスがかつて栄えた古代文明の一部であり、ここには強大な魔力を秘めた場所が存在していたことが記されていた。そして、その文明の一部として、エルミスは魔力を操る者たちの聖地でもあったらしい。

「古代文明の拠点……。そんな場所に僕たちがいたなんて、まるで運命みたいだ」

僕がそうつぶやくと、ペトラが頷いた。

「この文献によると、北の氷原に住む魔女エリスが、勇者に特別な力を授けるという伝説があるそうです。エルミスと関わりのあるこの情報が、今のレオンさんたちにとって重要な意味を持つかもしれません」

エリス――その名前を聞いた瞬間、僕の心に何かが引っかかった。北の氷原に住む魔女。彼女が勇者に与えるという特別な力。それが何かはまだ分からないが、確かに今の僕たちにとって大きな鍵になるはずだ。

「北の氷原か……。エルミスを守るためにも、そこに行く価値はありそうだな」

「そうね。エルミスを、そしてこの世界を守るために、私たちは進まなければならないわ」

アリアが静かに決意を表明する。僕もそれに応じて頷いた。

「じゃあ、準備が整い次第、北の氷原に向かおう」

こうして、僕たちは新たな目的地――北の氷原を目指すことになった。そこで待ち受ける魔女エリスと、彼女が授けるという特別な力。それを手に入れることで、僕たちはさらなる試練に立ち向かう準備を整えることになるのだろう。