第七話 元居た世界の価値観を、異世界で披露するのは愚かでは?

 さてはて、行方不明事件を解決しに、国に行ったのはいいんだけど。

 いつもの事だけど、初心者狩りしていたパーティーは私達に押し付けて、酒池肉林だとさ。

 ま、いいか、そっちの方がありがたい、私の邪魔されても困るし。

 私達は依頼を出した、村や町の代表者と会った。

 そこでわかったよ、何故人が居なくなったのかをね。


 まず、その国のトップが変わったらしい。

 そして宣言したらしい『奴隷制度を廃止する』と、まずは王都を強制的にしたらしい。

 んー正義感溢れてていいね、どう考えても異世界転生……いや、転移者じゃないか。

 だって、この世界の常識知ってたら、変えようとしても、時間をかけるだろ?

 ただね、元居た世界の奴隷と、この世界の奴隷って同じ意味なのかね?


 私のお世話した島国、そこには奴隷の身分の人が居たのよ。

 おっと、話はちゃんと理解して最後まで聞くんだ。

 そもそもこの世界の職業なのだよ、奴隷って。

 まあ、私も自分の世界の価値観の奴隷があるから、ぱっと見良いイメージは無い。 


 こっちの世界のふたを開けてみれば……召使いって感じかな?

 死ぬまで身の回りのお世話をする、ただしその代わり主人は、衣食住はちゃんとする。

 結婚するのならば主人が金を出す、その身分が嫌なら自分自身を主人から買う。

 とりあえず、まったくないとは言えないけど、悪いイメージの奴隷って無いのよ。


 てか考えてみなよ、権力者が奴隷に死ぬまで、強制労働ってバカじゃないか?

 食べ物をあまり与えず? 身なりは汚く? 普通に考えて無理だろ。

 病気とか、それこそ死なれたら面倒くさいのに。


 あ、そいや、私のやっていたゲームにも奴隷はあったけど。

 髪の毛は男女問わず丸刈りにされ、強制労働。

 ただし、時間はしっかりと決められていて、牢屋だけど衣食住がある。

 怪我をしたら即効でNPCが治療してくれる、ある意味で普通進めるより楽だった。


 さて……長々と説明したけど、これは私の管轄ではないな。

 私はあくまでも、異世界誘拐犯に中指を立てる。

 今回で言えば、その異世界転移者を呼んだ者だな。

 いや……このパターンは転移者が悪いからハズレだな。

 ああ……今私達はその転移者の国に殴り込み仕掛けるんだけどさ。

 村と町の代表者、てか今まで行方不明に困ってた人達は、良く調べたと思うよ。

 もうここまで言えばわかるだろ? 


 奴隷じゃなくなった者達の補充に、他の町や村から人を誘拐してくんだよ。


 どうしてそうなったか? 王様が後先考えてない転移者だからだろ?

 奴隷居なくなったら、奴隷の仕事だれがやるんだよって事。

 王様が主導じゃなくとも、わるーい人達が誘拐を考えて、それに対して需要がある。

 抜け道だったり、色々とあるんだろうさ。

 んじゃ、気合いの入っているカオスの言葉を聞くかね。

 さっきから笑顔だ。


「カオス、これから王様に殴り込みに行くのに、凄く笑顔だな」

「そういう君は不機嫌そうだね!」 

「いや……これ召喚者が悪いってか、転移者が悪いだろ趣味じゃない……てかお前楽しそうだな」

「だって! 無自覚お馬鹿ドヤ顔経済変えました転移者だよ!? 絶対に経済系のチート貰ってないし、おそらくは15歳くらいと見た!」

「まあ、お前が言うならそうなんだろうさ」

「だって! チート貰ってるならまだしも、考えてみてよ! 勉強もしてない人間が王様なんて出来るはずないじゃん! もうこの国は壊れている! その事実を知らずに崩壊させるのも面白いが、いやー依頼で復讐を頼まれたからには仕方ないよな!」

「……そうだな」


 まあ今回私は、後ろで大人しく見てるか。