縁はスファーリアに連れられて、界牙流の里へとやって来た。
目的はこの間の襲撃された事の報告。
「縁君、緊張している?」
「うむむむ、大丈夫かな……お父さんに今更挨拶しにきたかとか言われない?」
「界牙流は伴侶や子供を一番に考える」
「ふむ……え?」
里の入口に一族総出で出迎えられていた、一斉に頭を下げる一同。
「四代目、縁様、おかえりなさい!」
「おかえりなさい!」
「この間来た時よりい壮大だね?」
「縁君、私、界牙流四代目だよ?」
「あ、ああ……そりゃそうか」
流派の四代目、結婚すると言われている2人、一族総出も納得だ。
スファーリアは実家へと足を運ぶ、中には父親らしき人が威厳を放って座っていた。
「帰って来たか結び、いらっしゃい縁さん、座りなさい」
「ただいま」
「お邪魔します」
「縁君、娘と妻から話は聞いている」
「は、はい」
「これだけ聞かせてくれ」
「なんでしょうか?」
父親はゆっくりと頭を下げた。
「娘を、本当に悲しませる事だけはしないでください、夫婦となれば大小様々なケンカをするでしょう、私も妻と何度もしてきました、父としての願いは娘の幸せです」
話し終えると顔を上げて、今度は縁が頭を下げる。
「今すぐに結びさんとの幸せを証明するのは難しいです、側で見守っていただけませんか? 時間をかけて『幸せ』と照明します」
「お父さん、縁君は信用出来る」
「……うむ、そうと決まれば」
父親は少し表情が和らいだ。
「お義父さんと呼んでくれて構わないよ!」
「結びさん、お父さんの界牙流としてのお名前は?」
「炎龍」
「では炎龍さんで」
「ふむ……」
塩対応な娘夫婦に、物凄く残念そうな顔をしている炎龍。
「挨拶もだけど、今日はお父さんにお願いがあって来たの」
「ふむ、どうした」
「実は縁君が襲撃されて」
「ほう?」
縁は簡単に先日の襲撃された事を話した。
そして、過去の出来事が原因ではないかと。
「……なるほど、妹を守る為に戦争をしたと、そして相手は自分達の正義に酔いしれていると」
「うん、心配しているのは私達以外の知り合いの被害、万が一に備えたい」
「協力してくれる人達は居るのか?」
「これから交渉しに行こうかと」
「ん? 今から話をしにいくって意味か?」
「うんそう」
「なるほど、私が護衛しよう」
「ありがとうお父さん」
「界牙流は家族を一番に考える流派だ」
縁は家族と聞いたからか、少し苛立った顔をした。
それは家族に危害を与える敵が今も居るという事にである。
「俺は結びさんとの生活、そして最近は先生も面白いなと感じていても、過去がそれに茶々を入れてくる」
「縁君、命奪おうとする奴に慈悲はいらない、界牙流としても、絶滅演奏術奏者としても、旦那と義理の妹にちょっかいかける奴は殺す」
「まあ妹はもう自分で対処出来る……あ」
ふと口から出た言葉に縁は気付いた。
「口に出してわかった、結びさんとの時間を邪魔されている事にムカついているんだ」
「それは私も同じ、でも絆ちゃんも大事」
「ああ」
「それじゃあ行きましょうか」
3人が向かうのは、太陽の祝福を受けた吸血鬼の城だ。