今日も長谷川はバイトをしいてる。
荒野原と共に店番だ。
「今日はボチボチお客さん来るな」
「この間のラッシュは面白かったね」
「サインねだられるとは思わなかった」
「最近それも落ち着いてきたね」
縁がスファーリアに告白したシーン。
あれがネットで盛り上がった。
そのシーンを見て告白すると、結ばれるというジンクスが生まれた。
一部の人達がお店まで来て、買い物ついでにサインを求めてきたのだ。
お店にかなりの利益が生まれたらしく、ボーナスを貰うほど。
当たり前だが、その人気も徐々に落ち着いてきた。
「今日は縁が変身ヒーローになる日だね」
「打ち合わせとリハーサルはしたよ」
「え? かなりガチ?」
「そこまででもないかも?」
「ガチ勢のそこまでって信用していいのかね」
「あーそれを言われると……どうなんだろう」
「私は進行の邪魔にならないようにしとくよ」
「それは俺も同じだな、今日の主役は俺ではない」
「あ、ヒーローの設定とか知っておきたい」
「俺が貰った簡単なあらすじ有るけど読む?」
「見たい」
長谷川は荒野原にスマホを見せた。
その昔、化学汚染が酷い地域があった。
地上に残り汚染を何とかしようとした人達、地下に避難した人達が居た。
気が遠くなるような時が経ち、地上の汚染が無くなり、地下に避難した人達が地上に出た時、事件が起きたのだ。
地下に避難した人達は長い時の中で、土の中に住む動物達に進化していたのです。
地上の人々は異形の人間に刃を向け、地下に避難した人達は怒りに震えました。
迫害された地下の人々は、地底帝国と名を改めて地上に対して侵略を開始したのです。
戦いが激化する中、地底帝国は1人の青年を捕らえます。
その青年の名前は
彼を捉えた理由は自分達の手駒にして、地上侵略をするためでした。
地底帝国には人間に擬態する技術がありました。
それを応用して、地上の人間を一時的に異形の者する技術を開発。
『擬態砂時計』という技術でした。
彼は体内に、擬態砂時計を埋め込む改造手術を施されてしまう。
皮肉な事にも彼を改造したのは、行方不明になっていた親友の医者でした。
彼はキツネの亜人になっていました、親友と気付いたのは仕草や声、時々正蔵を見ると苦しみだす事です。
親友に改造されながらも、正蔵は必死に正気に戻れと訴えます。
改造を終えたその日に、奇跡的に親友は洗脳から解放されました。
それと同時に親友は、大切な友人を改造した事の罪悪感に囚われます。
正蔵は励まし、2人でこの戦いを止める決意をします。
親友はバレないように正蔵を支援、ですが彼自身悪の科学者を続けたようです。
正蔵は、地底帝国や地上の過激派達と戦いながら和平を訴えました。
紆余曲折があったものの、和平の象徴として正蔵は地底帝国のお姫様と結婚しました。
そして息子が生まれました、名前は
運命のいたずらか正吾も戦いに身を置いてしまいます。
何故なら、和平を望まない者達が居たからです。
荒野原はスマホを長谷川に返した。
「これ正吾君のお父さんの設定だよね?」
「ああ、基礎の部分だからな」
「なるほど……これはちょっと興味がある」
「公式ホームページとかあるよ?」
「あるの!?」
「舞台とかグッズとかもあるとか」
「マジで特撮じゃん、そこまでしてる人達は珍しいね」
「だな、凄い熱意だ」
荒野原はふと時計を見た。
「あ、お昼どうする?」
「ゲートの通り道辺ですまそうか」
「そうしましょ」
バイトを終えた2人は、ゲートに向かう道中で喫茶店に入る。
そこで昼食と今日の動きにに付いて話すのだった。
ゲートに向かい受付を済ませ、ゲーム内にログインする。
縁はとスファーリアは待ち合わせ場所に向かう。
そこには一般的な服装の砂煙正吾。
そしてもう一人、銅色の全身タイツで胸のあたりに砂時計と書いている男性が居た。
「縁さん、今日はよろしくお願いします」
「正吾君、今日はよろしくお願いします」
「今日は私も参加して大丈夫でしょうか?」
「もちろんです」
「よろしくお願いします」
ほぼ一斉に頭を下げて挨拶をした。
「おっと、オイラの自己紹介もしておくか」
「砂時計さん、自己紹介よろしくお願いします」
「オイラは正吾が使う変身アイテムの音声とか、効果音を担当している砂時計と言います」
「おお! アイテムの効果音さん」
「裏方ですがよろしくお願いします」
「正吾君、準備は完了してるのかい?」
「はい、何時でも始められます」
「開始します」
四人は光に包まれて消えた。