「まずは、縁さんが何度も会っている『隷属の神』に対して説明しますね」
「ああ」
「あの神が信仰心を集める事をしてるのは知ってますよね?」
いずみはデフォルメされたキャラクター達を登場させて、寸劇の始まりと書かれた旗を振っている。
演劇の舞台を作る様に小道具や大道具を持ったキャラクター達が忙しそうにしていた。
「お前の事だ、収集方法を目で見てきたんだろ?」
「はい、結果から言うと異世界からも信仰心を集めています」
ステージに惑星が現れて一つは『惑星レアスナタ』もう一つは『地球』と名札がついている。
「異世界からも?」
「長くなるけど話しますね? 信仰心を増やしたい隷属の神は異世界に目をつけました、それは強い祈りや願いは異世界の境界を超えるからです」
ステージには祈りを捧げる人達から祈りパワーと書かれた矢印が地球から惑星レアスナタに降り注いでいる。
「そうだな」
「そこで隷属の神は色々と実験をしました、この実験部分は長くなるので省略します、結果を言うと『物語を使って布教とゲーム感覚を覚えさせて、その魂をこちらへ連れてくる』です」
縁は頷くとステージに居た祈りを捧げる人達と祈りパワーがポンと消えた。
ステージにデフォルメされた隷属の神が現れて色々と試行錯誤している。
「詳しく」
「まず、物語で布教について説明します」
ポンと音が鳴って地球に『流行らせろ異世界転生』と名札が付いた。
「ああ? なんだそりゃ」
「隷属の神の信者が異世界に渡り、この私達の世界を異世界で『物語』として異世界に布教します」
信者と名札がついたキャラクターが地球に対して布教と書かれた瓶の中身を振りまいている。
「ふむ」
「その異世界は超能力とかは無く科学が進んでいた世界でした、神社とか教会はありまたけど一部では『非科学的』と言われるようです」
「なるほど」
「異世界の住民はその物語を本や映像で知ってこの世界……つまり『異世界に興味』を持ちます」
ステージに住民と名札のついたキャラクターが出てきた。
住民は異世界へ興味という文字を抱えている。
「それだけでは信仰心は稼げないよな?」
「はい、次に信者がやったのはテレビゲームを使った布教ですよ」
「テレビゲームか……この世界の一部にも有るがけどもそれで布教?」
縁は首を傾げていると、ステージに信者が現れて住民にゲームを渡している。
「命の重さを無くすためです、もちろんその程度で命に対する倫理観が破綻しているようなら終わってますが」
「まあ結果敵に目の前に居る人間みたいのが増えるんだな?」
「ほとんどが『事故死』として連れてこられるようです」
いずみはため息をしながらアーグルアを見る。
それと同時にステージとキャラクター達が消えた。
「な、何を納得しているんだ!」
やっと言葉を発したアーグルアは何か様子がおかしい。
先程の余裕綽々な態度ではなく焦っていた。
「おや? 何でも理解出来るスキルがありましたよね? それを使えばいいじゃないですか?」
口元をニヤリとさせるいずみだった。
「何故だ! 何故スキルが発動しないんだ! どうなってるんだ!」
「縁さんの力ですよ?」
「だからどうした!? 俺の力は神も凌駕するんだぞ!」
「……森田太郎さん、ちょっと黙ってて下さい、さもないと中学生時代の『絶対世界ブンブン丸』を披露しますよ?」
「な! 何故それを!?」
「お口にチャックは?」
「くっ!」
いずみはため息をした後アーグルアを小馬鹿にする目で見た。
余程それを晒されたくないのか黙ってしまったアーグルア。
「では先程の話をまとめますね? 異世界の人に興味を持ってもらう、異世界とはゲーム感覚で暮らせる、ある程度人選をして事故死等にみせかけて魂をコッチに持ってくる、最後に隷属の神が上手いこと言って私達の世界に住まわせるわけです」
「人を連れてくるのは分かった、そこから信仰心を集める方法は?」
「では集めた人物達をどうするか説明しますね?」
いずみはメガネを光らせた。
「あ、寸劇はめんどくさいので口頭で」
「ああ」
「まず隷属の神はこちらに呼んだ人物に力を与えます、その人物が敵を倒すと経験値とアイテムとお金がドロップします」
「は? なんだそりゃ?」
「縁さん簡単ですよ、力を受け取った人物が誰かを殺したとします」
「ふむ」
「殺された人はゲームのようにポンと消えます」
「は? 死体は?」
「あくまでも一例ですが、死体は隷属の神に『供物』として自動的に捧げられ経験値やアイテムやお金に変換されるんですよ、簡単に言えば給料みたいなもんですね? んで経験値を貯めればレベルアップして隷属の神から力を更に貰えると」
縁はそれを聞いて目つきを変えた。
「まさにゲームですよ」
「なるほどな、信仰心と供物を集めるにはいいサイクルだ」
「あ、まだ説明する事があるんでまだまだ続きますよ?」
「まだあるのかよ」
ニコニコしているいずみのその顔は説明したりないと言いたそうだった。