「パパ、そちらはどう?」
医師の光明寺が自室で父親と電話している。
「そう、何か足りないものがあれば言ってちょうだい。すぐに持っていくから。うん、うん。ええ、私は問題ないわ。パパは思う存分研究を楽しんでね」
光明寺はとても楽しそうだ。
「パパは偉大よ。私は信じてる。ええ。いつか必ず、世間を見返してやれる時が来るから。……え? そんな、もっと自信を持って。パパはすごいんだから」
だんだん困ったような顔になる彼女。
「……うん。パパ、愛してるわ。また電話するわね」
通話を終えると、携帯をベッドの上に放り投げた。
――パパは天才なのに。パパを認めない方がおかしいのに。
光明寺は歯噛みをした。