天地開闢てんちかいびゃくのこと。
まず混沌こんとんがあった。
どろどろと絶えず蠢うごめいて、けれど形は無い。
神はそこに卵を一つ生んだ。
卵からは龍が生まれた。
卵殻は、軽きものは上に昇り天となり、重きものは下に降り地となった。
混沌の蠢きは緩やかになり、やがて上澄みの海と沈殿する泥とに分かたれた。
天の上には神々が座し、地の下は暗き静寂があった。
龍は地を幾つかの島々に分けた。
そして泥を掬い、捏ねて人を作り、島々に置いた。
人は瞬く間に増え、村ができ、国ができた。
龍は人の中の優れた者を選び、宝珠ほうじゅを与えた。その者が王となった。
その島々のひとつが今の虹霓国こうげいこくの基である。